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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理(赤外線センサーレベル調整)

1.患者
仮面ライダーディケイド変身ベルト
仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理外観

2.症状
カードを差し込み後、ビッビッビと鳴るだけで後続の動作をしない。
正常時はカード固有の内容をしゃべっていた、とのこと。

3.診察
(1)先ずは内部構造の理解

①電源をオンすると、バキューンと音が出る。

②カードの先端を少し差し込むと、電源オン時と同じようにバキューン音がする。カード挿入口にリミットSWがあり、カードの挿入を検知するようになっている。これは正常に働いている。

③カードを奥まで差し込むとビッビッビと鳴っておしまいになる。カードのバーコードは検出しているのだが無効なデータと認識している(リードエラーになっている)ようである。

④赤丸で囲った基板がカードリーダ基板である。
仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理分解1

⑤カードリーダ基板の表側には、フォトリフレクタが2個装着されている。一つはクロック信号読み取り用、もう一つはデータ信号読み取り用である。
仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理分解2
(フォトリフレクタは光の反射度を測る電子部品で、赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタが組み合わさったもの)

⑥バーコードは2行あり、写真の下側の行がクロック信号、上側の行がデータ信号である。
仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理分解3
 (白黒が均一なパターンになっているのがクロック)

⑦フォトリフレクタの対面には細いスリットがあり、カードのバーコード部分が現れるようになっている。
仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理分解4
(写真では、カードの白い部分がスリットに現れるように差し込み量を加減して撮影)

(2)カードリーダ基板の診察
仮面ライダーディケイド変身ベルトの修理分解5

①基板の出力電圧を測定
 PT1は、カードの白い部分で0.2V、黒い部分では1.1V。
 PT2は、カードの白い部分で0.6V、黒い部分では1.5V。
 同じ部品で回路定数も同じなので、両者で大きな差があるのはおかしい。

【測定のコツ】
実際の使用状況で測定するために、基板を外さないで測定する必要がある。
・カード挿入センサは手で押下が可能なように外しておく。
・フォトリフレクタにカードの白(および黒)の部分が当たるようにカードの差込み量を加減しておく。
・その後にカード挿入センサを手で押下して基板の出力を測る。
・カード挿入センサが作動後、数秒しかカードリーダ基板に電源が供給されない設計になっているので、その間に測定する。

②PT1とPT2のどちらが正しい値なのかは設計情報が無いので判らない。また、両方とも狂っている可能性もある。
 基板の配線パターンを見ると、カードリーダ基板の出力は、そのままメイン基板のCPUへ送られている。CPUがどのようなレベルの信号を要求しているのか、と言うことになる。

③一般にCPUが要求する入力レベルには2種類があり、一つは、「TTLレベル」と呼ばれるもので、0.8V以下がLOWレベル、2.0V以上がHIGHレベルとなる。
 もう一つは、「C-MOSレベル」と呼ばれるもので、電源電圧×0.2以下がLOWレベル、電源電圧×0.7以上がHIGHレベルとなる。このおもちゃでは電源電圧が3Vなので、閾値は0.6Vと2.1Vになる。

④PT1もPT2の両方とも、どちらにも該当していないので、判断に迷うところである。

⑤そこで、PT1とPT2の出力レベルが同じになるように合わせ込んでみることにする。先ずはPT1を基準として、PT2の方を調整してみることにする。
 基板には調整用のボリュームが装着されていて、VR2と表示されている。これを調整して、PT2の出力レベルがPT1と同じ信号レベル(カードの白い部分で0.2V、黒い部分では1.1V)になるようにした。

⑥すると、調整後はカードの読み取りが正常に行われるようになった。カード挿入時は「仮面ライダーディケイド」と叫び、その後本体裏側のプッシュSWを押すと、挿入したカード固有のセリフが流れる。

4.治療
①診察の過程で、回路の調整ができて正常動作するようになったため、それ以上の治療はしていない。

②PT2の出力レベル調整で直らなかった場合は、PT2を基準にしてPT1の方を調整してみることになる。

③VR1とVR2で調整し切れない場合はプルアップやプルダウンを追加してみるとか、カードリーダ基板の出力とCPU基板の間にバッファを挿入して、信号の振幅を0VからVccまで最大限に振らせてみるとか、試行錯誤することになろう。

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  1. 2012/03/17(土) 21:15:31|
  2. 電子・電気修理
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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物の複製、改変および再配布はフリーです。読者様のおもちゃ病院活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。なお、公開ファイルは最新版を載せているので、古い記事の内容から変わっている場合があります。

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