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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

ドライブハンドルの修理(音声再生、電子オルゴール換装)

1.患者
ドライブハンドル
ドライブハンドル修理外観

2.症状
まったく動かない。

3.診察
ドライブハンドル修理分解1

①基板には4.5Vが来ている。

②ラバー接点になっているSWのパターンには電圧が掛かっていない。マトリクスSWになっているので信号波形を観測したが、セレクト信号が出ていない。

③外部クロック発振と思われるCR部品があり、半田付けを確認したが異常なし。

④プリント基板を点検すると、電解コンデンサの半田浮きが2箇所有った。半田付け直ししたが回復せず。
ドライブハンドル修理分解2

⑤マイコン不良と判断し、マイコンを加熱してみた。加熱後数秒間は動作した(エンジン音が出た)が、すぐにノイズ音になり、無反応になった。何回か加熱を繰り返したらまったく起動しなくなり、ついに死亡した。

4.治療
①マイコンをPICで換装する。

②機能要件をまとめる。元々の動作が不明なので、常識的に動作を推測して考える。

・押しボタンが6個あり、ボタンの絵面から動物の泣き声や物音が出るようだが、音声再生は大量のメモリが必要であり実現が難しい。そのため、6種のメロディを演奏することにした。
・救急車の絵のボタンは「ピーポー音」を演奏する。
・ホーンボタンはホーン音を演奏する。ホーン音は、ボタンを押している間だけ演奏し、ボタンを放すと演奏を止める。
・STARTキーをひねるとエンジン始動音を出す。その後、バックグラウンド的にエンジン音を出すのが理想であるが、ソフト処理が面倒なので、メロディ演奏とは排他的に処理し、操作時のみにエンジン始動音を出すことにする。また、スピードの切換えで発声音の変化も行わない。
・一定時間操作が無い場合はsleepする自動パワーオフ機能を持つ。この一定時間は、ファームを作成した結果、処理が簡単にできる約1000秒とした。
・ハンドルを切ったときに方向指示器を点滅させる。走っているときのみ点滅させる。

③エンジン音はPCM再生となるので、4kHz7ビットで1秒当たり2kワード(14ビット)のメモリが必要になる。廉価なPICでは高々1秒以内しか再生できない。そのため前半をセルモータ動作音、後半をエンジン音として、後半部分を何回か繰り返し再生することで見かけの再生時間を長く見せることとする。

④必要ポート数は10個、PWMあり、フラッシュ4kワード搭載の条件と秋月コストから16F1827(2013年7月25日現在@110円)を選定した。PWMはオルゴール演奏とPCM再生のD/A変換に使う。
ドライブハンドル修理PIC1

⑤PICのチップを中心に空中配線で、代替部品を作る。
ドライブハンドル修理PIC2

⑥ファームを開発する。

開発したファームウェアは ここから ダウンロードできる。
ディレクトリ 「Yatuka20130725」 にMPLABプロジェクトが格納されている。このフォルダにはPCMデータ変換ツール(VS2008プロジェクト)も含まれている。

再生音はこれ

⑦ファームはPICプログラマーからICSPで入れる。
ドライブハンドル修理PIC3

⑧元のマイコンはパターンをカットして、周辺の回路と縁を切っておく。
ドライブハンドル修理基板1

 代替部品を配線する。
ドライブハンドル修理基板2

⑨動作確認後にホットボンドで代替部品を基板に固定する。
ドライブハンドル修理基板3


5.(付録)PCMデータの作り方
【サウンドレコーダでの処理】
XPはサウンドレコーダで編集が可能だが、それ以降のWindowsのサウンドレコーダには編集機能がないので、適当なフリーウェアを使う。
①音源を録音する。
②必要な部分をトリミングする。
③プロパティを8kHz、8ビット、モノラルに変換する。

【バイナリエディタ(Stirling.exe等)での処理】
④wavファイルの先頭64バイトを削除してPCMデータのみにする。

【専用ツールでの処理】
⑤PCMデータをdw擬似命令へ変換する。このために下記機能の専用ツールを作成した。
・再生を4kHzとするため1バイト置きにPCMデータを取り込む。
・8ビットPCMデータの上位7ビットを取り込み、1ワード(14ビット)の前7ビットと後7ビットに詰める。
・dw擬似命令の形式でソースファイルを生成する。
   例)   dw  0x1234
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  1. 2013/07/25(木) 21:46:29|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:0

投影式万華鏡の修理(パワーLED交換)

1.患者
投影式万華鏡
投影式万華鏡の修理外観1

投影式万華鏡の修理外観2

2.症状
LEDが点滅したり、点かなくなったりする。

3.診察
投影式万華鏡の修理分解1

①持ち込まれた時には、電源オンでパワーLEDが数秒点いたが、その後は消えてしまった。しかし、完全に消えているのではなく薄くは点いている。

②パワーLEDの両端の電圧が9Vになっていて、明らかにLEDの不良である。

③パワーLEDを基板から外して別電源から電流を流すと正常に点灯した。そこで、元の状態に組み上げたら点かなくなった。このように症状が一定しない。

④もう一度基板から外して、定格電流まで流してみたらランダムに点滅を繰り返す症状が出た。その後は電流を下げても点滅症状が継続するようになった。

【不良となったパワーLED】
投影式万華鏡の修理分解2
定格は1W

4.治療
①パワーLEDを交換した。元々のは定格1Wのものであったが、廉価に出回っている1Wのものは外形が大きすぎて元のマウントベースに納まらない。そのため、定格0.5Wのものを取り付けた。

【交換先のパワーLED】
投影式万華鏡の修理交換1
定格0.5W

②パワーLEDの定格を下げたのでドライブ回路を調整する必要がある。電流検出抵抗が、元々は2.2Ωであったが、パワーLEDの電流が150mAになるように、10Ωに交換した。

投影式万華鏡の修理交換3

③投影動作は良好となった。
投影式万華鏡の修理交換4

投影式万華鏡の修理交換5
  1. 2013/07/19(金) 16:57:09|
  2. 電子・電気修理
  3. | コメント:0

アンパンマンコンパクトデジカメの修理(抵抗破損)

1.患者
アンパンマンのコンパクトデジカメ
アンパンマンコンパクトデジカメの修理(抵抗破損)外観

2.症状
まったく動かない。メロディとシャッターのボタンがあり、どれを押しても反応が無い。

3.診察
①基板へ電源(3V)は来ている。ラバー接点のパターンには3Vが印加されている。
アンパンマンコンパクトデジカメの修理(抵抗破損)診察1

②ラバー接点をオンしても、ランプとスピーカを駆動するトランジスタのベースにマイコンから信号が来ていない。マイコンが動作していないようである。

③マイコン基板を目視点検すると、360kΩの抵抗の足が折れて無くなっているのを発見した。クロック回路の抵抗のようである。
アンパンマンコンパクトデジカメの修理(抵抗破損)診察2

④抵抗を交換したところ、正常に動き出した。
アンパンマンコンパクトデジカメの修理(抵抗破損)治療

4.治療
①診察の過程で、破損した抵抗を交換し治療完了。

  1. 2013/07/14(日) 10:32:58|
  2. 電子・電気修理
  3. | コメント:0

100均プラレールの赤外線リモコン化の製作

子ども向けのマイコン工作講座でラジコンカーを作りたいのだが、それをたった半日でやるにはかなり無理がある。そこで、ラジコンはやめて赤外線リモコンにして、送信機と受信機を簡単にすることにした。更に家電品の赤外線リモコンを利用することで、送信機の製作も不要にする。メカを作るのは時間がかかるし、それに没頭すると「マイコン制御」という本来のテーマが疎かになってしまう。それで何か流用できるおもちゃメカが無いだろうかと見回していたら、100均ショップ(ダイソー)でプラレールもどきの電車おもちゃが売られていた。車を操縦する場合はステアリングとドライブの2つのchが必要だが、電車だとドライブだけの1つのchで済むのもよい。
ということで、近隣にある「越谷市科学技術体験センター」で「100均プラレールの赤外線リモコン化」という講座を実施したときのネタを公開する。

100均プラレールの赤外線リモコン化の制作外観

【設計】
(1)制御方式
①PWMでモーターの回転速度を制御する。

②リモコンの操作ボタンから2つ(例えばボリュームアップとボリュームダウン)を選び、一つを前進、もう一つを後退の機能に割り当てる。

③速度制御は3段階とする。前進のボタンを押下すると前進し、押下する毎に前進速度を増していく。3回目の押下で最高速になる。後退のボタンを押下する毎に前進を減速し、3回目の押下で停止する。更に押下すると後退の速度を増していく。

(2)ドライブ回路
HブリッジのドライブをデコーダのPICで直接行い、Hブリッジは4個のトランジスタで構成する。

(3)電源
①100均プラレールは単3電池1本の1.5V電源で設計されているが、さすがに1.5VではPICもHブリッジも動かないので、動力車に空車両を連結し、その空車両にもう1本の電池を積み、3V電源とする。

②電源SWは動力車に元々付いているものを使う。

(4)送信機との整合
①送信機は参加者が持参してくるものを使うので、個々のリモコンのプロトコルを調べて、フォーマットの種類とコード値によりデコーダをカスタマイズする。

②デコーダは予めNEC、家電協、SONY、三菱のフォーマットに対応しておく。出回っているリモコンの殆どは、これらのフォーマットのどれかに該当する。

③これ以外のフォーマットは予測できないので、予備のリモコン送信機をある程度用意しておき、当日は貸与することにした。

④フォーマットとコード値を判定する仕掛け(マイコンシステム)を用意する。

(5)フォーマットとコード値を判定する仕掛け
①マイコンボードで赤外線を受信し、フォーマットの種類とコード値を判定し、シリアルでPCへ送信する。

100均プラレールの赤外線リモコン化の制作モニタ全体

②PC側ではTeraTermで判定結果を表示する。

100均プラレールの赤外線リモコン化の制作モニタ画面

(6)デコーダ
入力は赤外線受信モジュール、出力はHブリッジのドライブ4本なので、8ピンで廉価版の12F509を採用した。

回路図
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作回路図

【製作】
基板部品面
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作基板1

半田面
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作基板2

モーターのパスコン
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作パスコン

基板実装
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作基板実装

配線完了
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作完了

マイコンチップ装着
100均プラレールの赤外線リモコン化の制作チップ

【送信機】
家電品のリモコンを流用するのは良いアイデアなのだが、既製のリモコンのコードを調べるのに赤外線モニタを作るのが面倒との意見が寄せられた。確かに、1台しか作らないのであれば赤外線モニタを作るよりも専用の送信機を作った方が合理的かも知れない。そこで、簡易な赤外線送信機の製作事例を追加した。(2016年8月22日)

①受信機側は日立製テレビデオのリモコンコード対応とし、プロジェク トP-Rail509TV_Hi.X のファームウェアを搭載する。送信機はそのリモコンのクローンとなり、以下の機能コードを送信する。
正転 : チャンネルUP(0x98)
逆転 : チャンネルDOWN(0x18)

②回路図
PICのポートを3本束ねることで、負荷電流をピン単位およびポート単位の最大定格内に収める。
100均プラレールの赤外線リモコン化簡易送信機回路図

③100均のLEDライト+防犯ブザーを母体にして、送信機の回路を組み込んだ。
100均プラレールの赤外線リモコン化簡易送信機母体

元々の基板に付いているタクトSWだけを残し、他の部品はすべて取り外す。COBも取り外したいが無理なので残すが、電気が流れないようにする。
100均プラレールの赤外線リモコン化簡易送信機組付け
待機時の消費電流は1uA以下だった。

④ファームウェアはダウンロードファイルに含まれているので、詳細はソースコードを参照。
受信側のプロジェクトは P-Rail509TV_Hi.X
送信側のプロジェクトは P-Rail509TX_Hi.X

【ダウンロード】
詳細な製作資料と開発したファームウェアは ここから ダウンロードできる。
赤外線モニタのファームウェアは IrMon
受信側のファームウェアと簡易送信機のファームウェアは P-Rail に収められている。メーカー(機能コード値)毎にプロジェクトを作っている。
  1. 2013/07/11(木) 17:51:02|
  2. 製作記事
  3. | コメント:0

プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物の複製、改変および再配布はフリーです。読者様のおもちゃ病院活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。なお、公開ファイルは最新版を載せているので、古い記事の内容から変わっている場合があります。

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