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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

ラジコンの修理(送信機受信機ミスマッチの改造1)

1.患者
ラジコンカー(Silverlit、NIKKO)
ラジコン送信機受信機ミスマッチ外観

2.症状
①動かない。

3.診察
①送信機は赤外線リモコンであるが車の方には40MHzと表示されていて、送信機と受信機の方式がミスマッチである。

【送信機】Silverlit社製の赤外線
ラジコン送信機受信機ミスマッチ送信機1

ラジコン送信機受信機ミスマッチ送信機2

【車】NIKKO社製の40MHz
ラジコン送信機受信機ミスマッチ受信機1

ラジコン送信機受信機ミスマッチ受信機2

4.治療
①依頼者のご要望により、この送信機と受信機の組み合わせで操作できるように改造することになった。

②送信機のエンコーダと受信機のデコーダはともにCOBが実装されていて型番等が不明のため、プロトコルは送信機の信号観測によって割り出す。送信機のプロトコルに受信機を合わせることにする。

【信号波形】
フレーム
ラジコン送信機受信機ミスマッチフレーム
フレーム周期は約140ms

停止時
ラジコン送信機受信機ミスマッチ停止時
フレーム長は22ビット(リーダー含む)

先頭部分の時間軸拡大
ラジコン送信機受信機ミスマッチ停止時先頭
各ビットはデューティはほぼ50%の矩形波

後尾部分の時間軸拡大
ラジコン送信機受信機ミスマッチ停止時後尾
値0:周期約1.2ms 値1:周期約2.5ms

【プロトコル】
信号波形の観測結果からプロトコル分析用のプログラムを作る。プログラムの仕様は、フレーム終了後のHの継続を検出して、遡ってフレーム開始からのビット数とビット値を16進表示でシリアルへ送る。これをPC側のTeraTermで受けて画面に表示する。分析結果は下記のとおり。

[ch]
(サンプル)
chA:0x300000
chB:0x340004
chC:0x380008
(ルール) A B C
b19-18:00-01-10

[ドライブ]
(サンプル)
前進:0x3B800C
  :0x3B4000
停止:0x39C000
  :0x38400C
後退:0x380008
(ルール) 後退       停止       前進
b17-14:0000-0010-0100-0110-1000-1010-1100-1110

[ステア]
(サンプル)
右:0x380C04
 :0x380800
中:0x380008
 :0x380200
左:0x380604
(ルール) 左     N     右
b11-9:011-010-001-000-100-101-110

分析完了後に、分析用プログラムにモーター制御や無通信監視、貫通電流抑止などの機能を付加してデコーダのプログラムに仕上げる。
開発したファームは 「Kasu20140121_1」(MPLABプロジェクト) を参照。

③元々の送信機は駆動とステアリングともに数段階のプロポーショナルになっているが、受信側はプロポーショナルではないので、トリミングしてオン/オフ制御のみにする。

④送信機は無改造で使う。

⑤受信機は赤外線リモコン化の改造を行う。赤外線受信モジュールとPIC(12F509)によるデコーダを新規に製作し、Hブリッジは既存のものを使う。既存のデコーダを取り外して、Hブリッジを既存回路から切り離す。受信機の電源は単三電池4本の6Vであり、3.3Vのレギュレータで落として赤外線受信モジュールとPICへ供給する。既存のHブリッジはローサイドのドライブのみになっていて、2VのHレベル入力で十分ドライブできている。

【デコーダ回路図】

ラジコン送信機受信機ミスマッチ回路図

費用は137円
(内訳)
・12F509 50円
・PL-IRM2161-XD1 50円
・S-812C33AY-B-G 12円
・10u6.3V 10円
・基板 15円
(2014年現在)

ラジコン送信機受信機ミスマッチ組付2

ラジコン送信機受信機ミスマッチ組付1
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  1. 2014/01/30(木) 16:06:46|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:0

ラジコンの修理(送信機受信機ミスマッチの改造2)

1.患者
ラジコン自動車
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2外観

2.症状
①動かない。

3.診察
①送信機は27MHzの表示であるが車は40MHzと表示されていて、送信機と受信機の周波数が合っていない。メーカーも異なるので方式も合っていないと思われる。

【送信機】Silverlit社製の27MHz
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2診察1

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2診察2

【車】NIKKO社製の40MHz
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2診察3

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2診察4

4.治療
①依頼者のご要望により改造することになった。

②送信機のエンコーダと受信機のデコーダはともにCOBが実装されていて型番等が不明のため、プロトコルは送信機の信号観測によって割り出す。ところが信号波形を観測したところパルス巾が100usと非常に短かく、手持ちの27MHz超再生検波器で検波してみたところ安定した検波信号が得られなかった。そのため、新規のプロトコルに変更し、送信側と受信側ともに改造することにした。

・送信機はエンコーダをPICで換装する。
・受信機は27MHz超再生検波、デコーダ(PIC)、Hブリッジのすべてを新規製作する。

③フルアクションラジコンとして最小限の機能を実現することとし、プロトコルは以下のように決めた。
;(フレーム間待ち時間)50ms
;(フレーム長)12ビット
;(フレームフォーマット)b'0000'+アクションコード8ビット+トレイラ
;(ビット巾):値0は0.5ms、値1は1.0ms
;(ビット間):0.5ms
;(トレイラ巾):2.0ms
;(アクションコードの意味)
; b7(MSB):前進(正論理)
; b6:後退(正論理)
; b5:右折(正論理)
; b4:左折(正論理)
; b3:前進のビット反転(チェック用)
; b2:後退のビット反転(チェック用)
; b1:右折のビット反転(チェック用)
; b0(LSB):左折のビット反転(チェック用)

④開発したファームウェアは 「Kasu20140121_2」(MPLABプロジェクト) を参照

⑤送信機はエンコーダを12F509で換装する。

・電源は9V電池であるが、基板上のレギュレータで5Vに落とした電圧が既存のマイコンに供給されていた。この5Vを新しいエンコーダのPICに供給する。

【エンコーダ回路図】

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療1

費用は60円(2014年現在)
(内訳)
・12F509 50円
・10u6.3V 10円

SW1とSW2は基板のステアリング操作SWから信号を拾う。SW3とSW4は基板上のドライブ表示LEDから信号を拾う。各信号取得ポイントの信号レベルは、ソースコードを参照。

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療2

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療3

⑥受信機の製作

・デコーダには12F509を、Hブリッジには廉価なTA7257Pを使った。
・電源は単三電池4本の6Vであるが、3.3Vのレギュレータを入れて検波回路とデコーダのPICへ供給する。
・Hブリッジは、入力電圧Hレベルの最小値が3V、また入力ピンの開放電圧は2.2Vであるので、デコーダの電源電圧を3.3Vにしても整合する。

【検波・フィルター・波形整形回路の回路図】

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療4

費用は133円(2014年現在)

【デコーダ回路図】

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療5

費用は88円(2014年現在)
(内訳)
・12F509 50円
・S-812C33AY-B-G 13円
・10u6.3V 10円
・基板 15円

Hブリッジの費用は130円(2014年現在)
・TA7257P 2個 100円
・放熱器 30円

合計351円となり、おもちゃ修理についてのポリシー(おもちゃ修理には多額の費用を掛けるべきではなく高々200円での修理方法を工夫する)を逸脱してしまうが、依頼者の強い希望で実施することにした。

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療6

ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2治療7

【受信波形】
超再生検波器出力
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形1

上記の時間軸を拡大
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形2

上記の時間軸を更に拡大してクエンチングの様子をコレクタ波形で見る
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形3

上記の時間軸を拡大
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形4

フィルターアンプ出力
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形5

上記の時間軸を拡大
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形6

波形整形後デコーダ入力(前進指示時)
ラジコン修理送信機受信機ミスマッチ2波形7
  1. 2014/01/21(火) 06:29:41|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:0

ラジコンの修理(送信機受信機のミスマッチ)

1.患者
エンコード方式が不一致のラジコンカー


ラジコン修理ミスマッチ外観2

送信機
ラジコン修理ミスマッチ外観1

2.症状
 コントロール不能。全く動かない。

3.診察
(1)車の方には「ASAHI」の社名が表示されているが、送信機には「CCP Co.」の表示がある。車と送信機の組み合わせが違っていて、エンコード方式が合わないため、コントロールできないものと考えられる。

受信機
ラジコン修理ミスマッチ診察1

送信機
ラジコン修理ミスマッチ診察2

(2)受信側の基板をチェックする。
ラジコン修理ミスマッチ診察3

①基板には、超再生検波、デコーダおよびドライブとステアリングのHスイッチの回路が組み込まれている。
②受信機には、RealtekSemiconductor社の「RX2」が使用されていた。
③超再生検波の出力はデコーダICに内蔵されたアンプ2段で増幅され、その出力がデコード部(ICの3番ピン)に入力される。それを観測したところ、送信機の操作に従ったパルス出力が確認できたので、そこまでは正常動作していると判断できる。
④デコーダICには、ドライブの前進・後退、およびステアリングの左折・右折に合わせて4本の出力ピンがあり、それぞれHスイッチへ配線されている。
⑤Hスイッチに直接信号を入れてやると、モーターは信号のとおり回る。(ステアリングの右折が動作しなかったが、Hスイッチを構成しているトランジスタ1個を交換してOKとなった)

(3)送信機のエンコード方式を解析する。
①受信機のデコードに入る前の信号を観測したものが、以下の波形である。

ラジコン修理ミスマッチ診察5

②T1~T4の周期を持つ2つのパルスが一組となって、これらが繰り返して送られて来る。
③T1とT3は固定されている。T1>T3であり、ドライブ/ステアリングを区別している。
  T1は約0.8ms、T3は約0.4ms
④T2がドライブの量を表している。
  前進は約0.3ms、後退は約1.2ms、停止は約3.2ms
⑤T4がステアリングの量を表している。
  左折は約0.5ms、右折は約1.6ms、中立は約3.7ms
⑥送信機のドライブのみ、あるいはステアリングのみを操作した場合でも、T1~T4が送られて来る。
⑦送信機のドライブとステアリングの両方が操作されないとき(共にニュートラル位置のとき)は信号が中断し、電波が出なくなる。

受信側の「RX2」はパルスの個数でデコードする仕様であり、これとは全く異なる方式である。(「TX2/RX2」のデータシートを参照)

(4)実際のエンコード信号波形
下図がエンコード信号の実測波形である。波形を一定のレベル(赤線)でスライスし、整形したイメージを実測波形の下(青線)に示す。

ラジコン修理ミスマッチ診察4

4.治療
(1)送信側か受信側のどちらかを改造して、方式を合せるしかない。基板の配線パターンの変更の観点では、「受信機側のデコード処理を作り替える」方がパターンカット等の加工が少なくて良い。

(2)送信側のエンコードはアナログ方式であるが、デコード処理はパルス幅の評価を行うことになるので、マイコンによるデータ処理が向いている。これをアナログ回路やゲート回路で組むとすれば、かなり大きな回路規模になってしまう。マイコンを使えば、実装後の調整もソフトウェアの書き換えで済むため、調整のための回路が不要になる。

(3)必要なポート数は5本である。
出力ポートは、ドライブ(前進)・(後退)、ステアリング(左折)・(右折)の4本
入力ポートは、エンコード信号が1本
エンコード信号をアナログポートで受けると、スレッショルドレベルの自動調整やヒステリシス特性をソフトウェアで実現できる。

(4)上記の昨日要件を満たすマイコンとしてPIC12F675(マイクロチップ社)を採用することにした。このマイコンは以下の特徴を持っている。
①フラッシュメモリを採用し、実装状態でプログラムの書き換え(ICSP)が可能
②2.0V~5.5Vの広範囲な電源電圧で動作
②汎用ポートは5本
③A/Dコンバータを内蔵
④4MHzの内部RCオシレータで動作可能
⑤安い(秋月で@150円、平成15年現在)

(5)ソフトウェアの設計条件
①パルス幅の分解能は0.1ms以下が必要である。
②エンコード信号のレベル判定にヒステリシス特性を持たせる。
③信号方式に外れた入力(ノイズ等)に対しては、停止の方向へ作用させる。
④信号の安定度を評価して、動作のバタツキを防止する。
⑤モーターの正逆転を切り替える時は、ディレイを持たせて貫通電流やモーターの過電流を防止する。

(6)マイコン側の回路図

ラジコン修理ミスマッチ治療1

(7)開発したファームウェアは 「RCdecode」(MPLABプロジェクト) を参照。

(8)実装状態
①マイコンは、小さな蛇の目基板に組み込み、フラットケーブルで元の基板へ配線する。
ラジコン修理ミスマッチ治療2

②元のデコーダICからHスイッチへの配線パターンはカットしておく。

③車への実装は以下のようになる。マイコン基板の裏面はホットメルトで覆い、元の基板に固定する。
ラジコン修理ミスマッチ治療3

ラジコン修理ミスマッチ治療4
  1. 2014/01/21(火) 05:30:01|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:2

プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物の複製、改変および再配布はフリーです。読者様のおもちゃ病院活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。なお、公開ファイルは最新版を載せているので、古い記事の内容から変わっている場合があります。

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