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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

インタラクティブETの修理(マイコン換装)

1.患者
インタラクティブET
インタラクティブETの修理外観

2.症状
①「動かない」との申告。正常だったときの動き方を訊ねると、「日本語ではないおしゃべりをしたり、顔が動いたり、首が動いたりする」そうだ。

②箱には「遊び方」の記載は無い。取説が無いか訊ねると、「あったかどうか判らない」とのこと。

③箱に「INTERACTIVE E.T.」と書いてあるのでググってみたら、YouTubeの動画ががヒットした。いつまであるのか判らないが、URLは下記の通り。
https://www.youtube.com/watch?v=NkbEE9GN1Hk
この動画で判ったことは
・逆さにしたり傾けると眼を覚ます。
・右手と左手にSW、胸に明るさセンサー、音センサー、頭にはパッドがあり、何らかの動作のトリガになっている。
・PlayGuideが添付されているが、持ち込まれたETはそれを紛失している。

逆さにして振ってみても、ちっとも動き出さないので、故障していることは確かだ。

④別のWebサイトには「2体を向い合せると、お互いにインタラクティブに動作する」との情報があった。人とインタラクティブなのではなく、ET同士がインタラクティブなのだ。

3.診察
①マイコン制御のものはマイコンが動いていないと何も始まらないので、先ずは、マイコンが動作しているのか確認が必要だ。ハウジングを外して内部を観察する。
インタラクティブETの修理診察1

COB形状のマイコンを搭載したマイコンサブ基板がメイン基板に挿さっている。
インタラクティブETの修理診察2

②マイコンサブ基板のGNDとVddの端子を探す。GNDはメイン基板のGNDとの導通チェックで探す。Vddは信号を観測して当たりを付ける。定常的に+5Vが出ている端子は1つだけあった。このGNDとVddと思われる端子は、マイコンサブ基板上のC3(次項参照)に繋がっていて、GNDとVddに間違いない。
このおもちゃにはRESETボタンがあり、それとの導通チェックでマイコンサブ基板のRESET端子を探す。

インタラクティブETの修理診察4
プリントパターンにシミが認められたので導通チェックしたが、断線箇所は無かった。

③マイコンサブ基板上には3個のコンデンサが実装されている。
C1とC2はセラミック発振子とGND間に挿入されていて、クロック発振回路の負荷コンデンサである。
C3はVddとGND間に挿入されており、電源のパスコンである。
インタラクティブETの修理診察3

④マイコンサブ基板の裏面にはセラミック振動子が実装されている。どちらがINかOUTか判らないので、両端子の信号を観測する。その結果、どちらも定常的に0Vでクロックは観測されなかった。インバーター回路が動作していないようだ。C3には+5Vが来ているのでマイコンサブ基板までの電源供給は問題無い。
インタラクティブETの修理診察5

⑤RESET端子の電位は1.9Vで、Vddが5Vであるのに比べて低過ぎる。プルアップが故障していることがあるので、外付けでプルアップしてみた。2kΩでも電位が上がらないほどリークが大きい。RESETを直接Vddに繋いでみたら、セラミック振動子に4MHzのクロックが現れた。セラミック振動子には「74.0M」と表示されているが、74MHzではなく4MHzを意味しているのだろうか。発振波形を以下に示す。
インタラクティブETの修理診察6

インタラクティブETの修理診察7
クロックは出るようになったものの、ETは動き出さない。

⑥マイコンサブ基板のRESET端子をメインボードから浮かせてみた。その結果、メインボード側は5V、マイコンサブ基板側は0Vになった。リークはマイコン内部かマイコンのボンディングで起きていることが判った。マイコンサブ基板上でVddの経路が切れていて、RESET端子からマイコンに電源が供給されて、辛うじてクロックが出たものと思われる。

以上のことから、マイコンサブ基板の不良と判断した。

4.治療
①COBマイコンを別の1チップマイコンで換装することにした。元々はかなり高度な機能を持っているのだが、廉価な1チップマイコンでは実現可能な機能範囲が限られる。依頼者の「少しでも動くようにして欲しい」とのご要望をいただいて、改造することになった。

・音センサー(ECM)で音を検出すると、おしゃべりを起動する。
・メモリ量が限られているため、おしゃべりは一言(4秒弱)のみとする。
・明るさセンサー(CDS)で明から暗への変化を検出すると、首を伸ばし、暫くしたら自動的に縮める。

②性能・機能、メモリ量、コストを総合的に判断して、LPC1114FN28/102(2014年秋月価格@120円)を採用する。ET内部は比較的スペースが空いているので、DIPパッケージ品でも実装が可能である。
元々の電源電圧は電池4本の6Vであったが、LPC1114のVddはMAX3.6Vなので電池2本の3Vとする。ET内部のモーターは2Vで十分に稼働することが確認できたので、駆動系もLPC1114と同じ3V電源とする。
モーターの負荷電流を実測したところ、高々200mAであった。

③LPC1114の本格使用は今回が初めてだったので、ポート制御や内蔵モジュール、パワーダウンなどの機能とコードの事前確認のために、テストボードを使ったファームウェアの開発環境を整えた。

・テストボードは「トラ技2012年11月号の付録ボード」
・開発ツールは「Keil uVision4」
・プログラミングツールは「USB~シリアル変換器(自作)」
インタラクティブETの修理治療1
この環境で、代替マイコンシステムの実現可能性を検証しておく。

④代替マイコンシステムを設計する。

【設計要件】
・本ブログの別記事 「LPCで電子オルゴール」 のファームウェアをベースとしてセンサー・モーター・ディープパワーダウンの制御機能とETとしての動作シナリオを固有処理部(コールバック関数)に作り込む。
・右手SW押下でWAKEUPピンをGNDレベルにし、WAKEUPする。電源SWは設けない。
・左手SW押下で胸LEDを点灯させる。
・左手SWの3秒長押しで胸LEDを消灯し、ディープパワーダウンする。
・ディープパワーダウンする前に、ECMとCDSの電源をオフする。
・ECM入力(基準値は固定)で音声再生をトリガする。
・音声再生中は目口のモーターを動かす。
・音声再生のPWM出力を右手LEDへも流すことで、音声再生に合わせて右手LEDを点滅させる。
・CDSセンサーの暗から明への変化で首を上昇する。
 基準値は直近の256サンプルの平均値。
 上昇する時間は0~1.2sでランダムにする。
・首昇降の動作後0.5s間は停止し、その後下降限界まで自動的に下降する。
 下降する時間は0~1.2sでランダムにする。
 首昇降のリミットSWで、ハードロジックによりHスイッチの入力を遮断(ローサイドのBE間をショート)する。
・首昇降のリミットSWをソフトセンス(ローサイドのVce)して、Hスイッチのドライブを止める。
・10分間何もセンスしなかったら、ディープパワーダウンする。
・モータードライブはポートを3本束ねて出力電流を強化する。これでも定格(4mA/ポート)ギリギリである。(絶対最大定格に対しては余裕がある)
・首の上昇限界を検出するリミットSWは、元々装備されていなかった(元々はロータリーエンコーダーでの位置検出)ので、新規に実装する。下降限界は、元々付いていたリミットSWを利用する。

【回路図】
インタラクティブETの修理治療2

(1)ディープパワーダウンモードを利用するので、WAKEUP端子は外部プルアップが必要である。また、ディープパワーダウンするときにはマイコンからセンサーの電源をオフにする。

(2)右手LEDを音声のPWM出力で駆動することで、音声に合わせてグラデーション点灯することを狙ったが、実際の見え方は顕著なグラデーションにはならなかった。

(3)首の昇降制御
・元々は下降限界のリミットSWとロータリーエンコーダーで首の位置検出を行っていたが、仕掛けを簡素化するために、モーターの駆動時間を制御することで首の伸縮量を制御する方式を採った。
・「首上昇」をHにすることで、首昇降モーターを上昇方向に駆動する。
・首が上昇限界に達すると、「上昇リミットSW」が閉じS8050のB-E間を短絡し、首昇降モーターの駆動が停止する。このとき、「首上昇限界センス」はLからHに変わる。
・ファームウェアは「首上昇限界センス」をポーリングすることで、首が上昇限界に達したことを検知できる。但し、「首上昇」がLのときは、「首上昇限界センス」は常にHになるので、首が上昇限界に達していることの検知はできない。
・下降の動作についても同様である。

(4)目口の制御
・目口モーターは1方向のみの回転機構なので、Tr1石で制御する。
・元々はホームポジションの検出とロータリーエンコーダーによる位置検出を行っているが、目口を閉じるタイミング制御は必須ではないと考え、仕掛けを簡素化するために割愛した。

【費用】
マイコン LPC1114FN28/102 120円
ユニバーサル基板 60円
CR類 数円
ECM、CDS、トランジスタは元々の基板に付いていたものを利用
首上昇リミットSWはジャンク品を利用

⑤代替マイコンシステムの基板を作る。
インタラクティブETの修理治療3

【ファームウェア】
開発したファームウェアと設計資料は ここから ダウンロードできる。フォルダ名「ET」がuVision4のプロジェクトディレクトリになっている。

固有処理の記述は「test_LPC1114.c」にあり、動作シナリオの記述部分はCで150ステップに満たないのと、コメントを多く入れてあるので理解し易いと思う。 「LPCで電子オルゴール」 のおもちゃ修理への応用編として見ていただきたい。

ソフトウェア処理の特筆しておくべき事項は以下の通り。

(1)固有処理部がオルゴールエンジンからコールバックされるのは10ms毎になるので、コール回数のカウントで時間管理を行う。

(2)モーターの騒音が高いので、モーターが稼働している間は音をセンスしないようにする。これを怠ると永久に止まらなくなってしまう。

(3)人が近付いたことを明るさのセンスで検知する。人が近付くとETから見れば周囲が暗くなるので、明から暗への変化を検出する。変化を検出したいので、過去一定期間(2.6秒)の平均値と比較する。こうすることで、環境が明るくても暗くても変化が検出できる。

⑥首の上昇限界を検出するためのリミットSWを設ける。針金で固定することで、位置調整がやり易くなる。
インタラクティブETの修理治療4

⑦デバグが完了した基板をETに実装する。
インタラクティブETの修理治療5

実装後の調整のため、ISP端子を装備しておいた。
インタラクティブETの修理治療6

インタラクティブETの修理治療7

インタラクティブETの修理治療8
ディープパワーダウンモードに入ったときのリーク電流を実測したところ、0.9uAであった。

⑧実装後にISP接続して、各種の閾値やタイミング定義を調整しながら動作確認する。
インタラクティブETの修理治療9

⑨ハウジングを被せて、最終の動作確認をして、修理が完了した。
インタラクティブETの修理治療10


⑩電源電圧が3Vになったので、単三電池4本の電池ボックスに2本のみ装着することになった。装着するところには 印、装着しないところには × 印を付けておいた。
インタラクティブETの修理治療11
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  1. 2014/12/30(火) 20:54:11|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:0

「故障したICやマイコンの代替品をお作りするサービス」 を提供しています

おもちゃに使われているICやマイコンが壊れている場合は修理を諦めてしまうことが多いと思うが、つつじが丘おもちゃ病院では1チップマイコン(PIC、LPC、AVR等)を使って、その代替品を作って換装している。

例えば
ラジコンの修理デコーダ換装
アンパンマンカラオケの修理電子オルゴール換装
ドライブハンドルの修理音声再生、電子オルゴール換装
ミミクリーペットの修理ボイスレコーダー/チェンジャー換装
インタラクティブETの修理制御マイコン換装
キッズドライバー「アガツマ」ハンドルの修理電子オルゴール・音声再生換装
SN76604N(リモコンサーボアンプ)を代替するICの製作第2弾:ステアリング制御
詳細は上記をクリックすれば表示される。それぞれの記事から、回路図やファームウェアの開発プロジェクトをダウンロードできるようにしているので、各おもちゃ病院で活用して欲しい。

しかし、それらの資材は、その事例のおもちゃに特化したものであり、実際に他のおもちゃの修理に応用しようとすると、そのおもちゃに合わせるためのカスタマイズが必要である。例えば、電子オルゴールの場合、電源条件、曲目、曲選択の操作、演奏の中断や演奏曲の切り替え、演奏中の周辺(LEDやモーター駆動など)の制御、終了時の省電力設定など、カスタマイズ項目はたくさんある。これらを対応するには、それなりのマイコン開発スキルが要求される訳で、サンプルを提示して 「どうぞお使い下さい」 と言うだけではなかなか普及して行かない。

そこで、当おもちゃ病院ではファームウェアのカスタマイズ作業を請け負うことにした。各地のおもちゃ病院やおもちゃドクター様からの依頼を受けて、提示された要件に基いて当おもちゃ病院でファームウェアを開発する、と言うサービスだ。もちろん無償で。ソフトウェアプロダクツはメールでやり取りができるので、送料等も必要無い。但し、実装は依頼元の各おもちゃ病院で実施していただくことになる。また、廉価な1チップマイコンでは実現範囲が限られるので、機能要件を縮小しなければならないときもある。当おもちゃ病院では、費用を度外視して何が何でも直す、という考えは持っていない。

修理事例が無いケースでは、ファームウェアの新規開発も行う。

ICマイコンの故障でおもちゃの修理に困ったときには是非、当おもちゃ病院へ相談して欲しい。
また、ファームウェア開発や電子系おもちゃの修理全般についても技術支援を行っている。
mailto:tutuji@cb4.so-net.ne.jp

今までに請けた開発依頼と当方のファームウェアをご利用いただいた事例(当方で把握できているもの)は以下のとおり。

(新潟)おもちゃ病院 新津様
     歌いながら演奏する熊さんサンタの演奏曲変更 (外部リンク)
     アンパンマンのドライブハンドル PIC換装事例紹介 (外部リンク)
     電動ミニクレーンゲーム動作不良 入院修理 (外部リンク)
     うぐいすの鳴き声センサー 入院修理 (PIC換装) (外部リンク)
     PICで音声再生 Vol .1   おもちゃ病院 いたずら1才やりたい放題修理 (外部リンク)
     うぐいす鳴き声装置 PIC換装(省エネ設定・人感センサー回路図解析) (外部リンク)
     犬のおもちゃの修理(電子オルゴール換装)
     アンパンマンじゃかじゃか消防車の修理2(電子オルゴール・音声再生換装)
     ミミクリーペットの修理(電子オルゴール化改造)
     タッチレジスターの修理(センサーマイコン換装)
     アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例2
     NIKKO製 NANO Vaporizr 2水陸両用車2.4GHzラジコン改造(外部リンク)
        ⇒当ブログの関連記事は 2.4GHzラジコン用ファームウェアの開発(SE8R01)

(奈良)健やか交流塾おもちゃ病院様
     歌うサンタ人形のIC不良をPICマイコンで修理する (外部リンク)

(愛知)岡崎おもちゃ病院様
     セミデラコン童夢零の修理(サーボ制御IC換装)

(愛知)小牧おもちゃ病院様
     笑い転げる猫の修理(音声再生換装)
     アーロと少年の修理(マイコン換装)
     スーパーショベル(CCP)の修理(COB故障をPICで補完)

(埼玉)東松山おもちゃ病院様
     アンパンマン電動レールでGO!GO!DXの修理(マイコン換装)
     たんたんたのしいタンバリン(Benesse)の修理(マイコン換装)
     サーフボーイの修理(クローンリモコン製作)

(徳島)徳島おもちゃ病院様 
     キッズドライバーハンドルの修理(電子オルゴール・音声再生換装)

(徳島)小松島おもちゃ病院様 
     アンパンマンおでかけメロディハンドルの修理(電子オルゴール・音声再生換装)
     ミッキーのオルゴール修理(電子オルゴール換装)

(千葉)鎌ケ谷おもちゃの図書館「あ・そ・ぼ」おもちゃ病院様
     アンパンマンじゃかじゃか消防車の修理(電子オルゴール・音声再生換装)
     星形おもちゃの修理(電子オルゴール換装)
     ラッピングバスの修理(電子オルゴール換装)
     ミミクリーペットのPIC置換 (外部リンク)
     おしゃべりぞうさん (外部リンク)
     不思議なドレッサー ミラーナの修理(マイコン換装)
     マラカスの修理(電子オルゴール換装) (外部リンク)
     キッズドライバーのハンドルV2(電子オルゴール・音声再生換装)
     BRUIN(Licht und Sound Lok)(マイコン換装)
     BRIO鮮魚輸送車の修理(マイコン換装) (外部リンク)

(豊橋)おもちゃ病院トントン様
     キッズドライバーのハンドルV2(電子オルゴール・音声再生換装)

(東京)あきしまおもちゃ病院様
     BRUIN(Licht und Sound Lok)(マイコン換装)事例2

(埼玉)上戸田おもちゃ病院様
     アンパンマン電動レールでGO!GO!DXの修理(マイコン換装)

(兵庫)にしわきおもちゃ病院様
     ダンシングサンタの修理(マイコン換装) (外部リンク)
  1. 2014/12/22(月) 20:57:46|
  2. おもちゃ病院
  3. | コメント:3

おもちゃドクターに技量は要らない?

ネットにおもちゃドクター募集の記事がよく出ている。

そこには必ずと言っていいほど 「おもちゃドクターになるのに特別な技量は必要ありません」 といったキャッチコピーが書かれている。本当にそんなことを言ってよいのだろうか。

人間の患者を診るドクターの要件に、 「技量は要りません」 と書かれていたらどうだろう。僕だったら、そんなヤブ医者には診て貰いたくない。最高の技術・技能を持つドクターに診て貰いたい。

おもちゃドクターは熱意を持っているだけではダメだ。おもちゃが相手とは言え、おもちゃドクターは最高レベルの知見と技をもって治療に当たる責務がある。ボランティアでやっているから、とか、タダで直してあげるのだから、とか言い訳をするドクターがいる。しかし、 「直して下さい」/「直します」 のやり取りは患者/ドクター間の契約行為であり、契約履行の責任は金銭の授受に係わらず発生する。いい加減な治療を行うと損害賠償の責を負うことにもなる。

診察申込書に 「治療中に故障状況が悪化することがある」 などと逃げを打ってはいるが、民法では 「善管注意義務」 が定められており、いい加減な治療を行った結果による損害についてはその責を免れ得ない。PL法の規定はもっと厳しくて、免責事由は 「製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学・技術の知見(解釈上、その時点における最高水準の知見と解されている)によっては、欠陥があることを認識できなかった場合」 に限られる。(おもちゃ修理は「製造行為」であるとの認識)

最近は、おもちゃ病院やおもちゃドクターに前述の責任意識が希薄になってきていることを感じていて、この業界での大きな問題だと思っている。僕がおもちゃドクターを始めた昭和50年代は、本業の技術をボランティア活動に活かしたいというドクターが集まってきていた。そのため、ドクターにはスキルアップや治療品質の向上についての意識が高かった。ところが、今日では、老人の生きがい対策の一環としての位置付けで全国各地におもちゃ病院が設立され、技術分野には縁の無かった老人たちが集うようになった。そのような 「技量の無いドクター」 を受け入れて、且つ、治療品質を確保しなければならないおもちゃ病院はドクターへの教育体制をしっかりと整える必要がある。おもちゃ病院の組織活動として、無理やりにでもスキルアップさせる意気込みで研修を計画し、その実行を推進していくことが重要だ。

おもちゃドクター向けの研修では、特に設計能力を養うことに重点を置く必要がある。おもちゃの修理は一般的な保守サービスではなく 「製造行為」 なので、ドクターの設計能力が問われるからだ。このことについては別記事の 「おもちゃの修理は保守サービスなのか」 で詳しく述べている。この考えに基いて、当病院では研修カリキュラムを用意している。例えば、下記の記事をご覧いただきたい。

おもちゃドクター向け電子系スキルアップコースのご提案

ドクター研修会(無線リモコン)の紹介

関心をお持ちの方からコメントをいただけると幸いです。
  1. 2014/12/10(水) 21:37:25|
  2. おもちゃ病院
  3. | コメント:0

プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物のご利用および再配布はフリーです。読者様の技術活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。

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