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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)

1.患者
デアゴスティーニ零戦の赤外線リモコン
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)外観

2.症状
①デアゴスティーニの零戦が複数台あるが、うち1台のリモコンを紛失した。

②ベタ記憶方式の学習リモコン「HPB-031」(株式会社ヘルツ)に、現存するリモコンの赤外線信号を学習させたが、零戦のコントロールは効かなかった。
【HPB-031】
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)HPB031

③クローンのリモコンを作って欲しい。

3.診察
①リモコンの操作ボタンは エンジンの始動/停止、音量大、音量小 の3種類。

②元のリモコンの信号波形を観測する。
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)元波形1

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)元波形2

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)元波形3

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)元波形4

③ベタ記憶方式の学習リモコン「HPB-031」で学習させた結果の信号波形と元のリモコンの信号波形を比較する。
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)ベタ記憶波形
「HPB-031」の学習機能が不完全であり、リーダー部の長さが異なる結果となっていた。

4.治療
①エンコーダを1チップマイコンで作り、ジャンクのリモコンのエンコーダに換装することで、クローンのリモコンを製作する。ジャンクリモコンを利用することで製作の工数と費用を削減できる。

②【設計】
・キーSWの数が少ないので、マトリクスにはせず、直読みする。

・キーSW3個とLED出力の4ポートで事足りるので、デバイスはPIC10F200(2015年秋月価格@35円)とする。

・キー操作が無いときはsleepさせる。

・赤外線信号のフォーマットは元のリモコンのとおりに再現する。

③【回路図】

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)回路図
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)ピン接

・マイコンと抵抗3本以外は、ジャンクリモコンに付いていたものを利用した。
・LEDドライバのベース電流をポートの定格内に抑えるため、ベース抵抗を68Ωから100Ωへ大きくした。LEDの電流制限抵抗も2.2Ωから10Ωに大きくして、ドライバのトランジスタは元々2個であったが1個に集約した。

④【ファームウェア】
・MPLABとHI-TECH Cで作成した。
・LEDのオンタイムとオフタイムの比は1:2とした。
・ボタン操作が無い時はsleepし、ポート変化でWAKEUP(デバイスリセット)する。
・sleep時の消費電流は0.1uA以下で、手持ちのテスターでは測定できなかった。

開発したファームウェアと設計資料は ここから ダウンロードできる。
ディレクトリ名「deago0sen」がMPLABのプロジェクトディレクトリである。

⑤【実装】
・改造の元になるジャンクリモコンは依頼者からの支給品で、数種類の中から改造し易いものを選んだ。
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)ジャンク1

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)ジャンク2

・基板表
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)ジャンク3

・基板裏
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)ジャンク4

・元々付いていたマイコンを剥がす。設計変更した抵抗を取り替える。
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造1

・代替マイコンを装着して、配線する。
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造2

・ボタンの対応付けは下記のとおりにした。
 「TV/VIDEO」⇒「始/止」
 「FM/AM」⇒「大」
 「TAPE」⇒「小」

⑥クローンリモコンの赤外線信号の波形を確認する。
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造波形1

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造波形2

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造波形3

デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造波形4

⑦元リモコンと波形を比較する
デアゴスティーニ零戦(クローンリモコン製作)改造波形比較

⑧実機で動作確認した結果、零戦のコントロールは良好であった。

⑨元リモコンとクローンリモコンの到達距離を比較した結果、元のリモコンと同等の天井反射で5m程度であった。

⑩10F200はBOD機能が無いため、電源が不安定なときの振る舞いを確認しておく。電源の内部抵抗を大きくして、動作不能状態になってから電源を回復させたところ、問題なく再稼働した。

5.後日談
学習リモコン「HPB-031」でリーダー部の長さが再現されない不具合は、それが仕様通りなのか観測波形を添えてメーカーへ問い合わせたところ、ファームウェアの無償改修をしていただけることになった。
随分回り道をしてしまったものだ。
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  1. 2015/01/22(木) 11:08:50|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:2

PICで電子オルゴール+音声再生

【前振り】
PICを使った電子オルゴールと音声再生は当ブログの別記事(「PICで電子オルゴール」と「PICで音声再生」)で紹介しているが、今回はオルゴールの演奏と音声の発声をコンカレントに実行できるように機能を改善した。これで、おもちゃ修理への応用範囲が広がることを期待している。
本ブログのおもちゃ修理事例の記事「アンパンマンたいそうベルトの修理(マイコン換装)」で上記の機能が必要になり、改善を施したものである。

【設計】
今回改善した部分に絞らず、今までの復習を兼ねて「電子オルゴール+音声再生」の全体について設計情報をまとめる。
なお、アセンブラソースコードのコメントをそのまま掲載しているので、体裁についてはご容赦願いたい。

;1.機能
;①8パート(8和音)まで演奏可能
;②発声信号の波形はデューティ50%の矩形波
;③音高は125Hz~2KHz(4オクターブ)で、パート毎に15種類まで可能
; 足りない場合は音符毎に直接周波数指定が可能
;④音価はパート毎に15種類、3連符も可能
;⑤ベロシティを音符単位に設定可能
;⑥エンベロープ表現はディケイタイムのみ可能とし、音符単位に設定可能
; ディケイタイムを0とすると減衰せず、タイ・スラー演奏
; ディケイタイムを短くするとスタッカート演奏
;⑦テンポは演奏中に可変とする(現在この機能は未実装)
;⑧リピートは2系統で、回数設定可能
;⑨各パート毎に音符データは255個まで可能
;
;2.処理方式
;(1)発声処理
;①オルゴール演奏の各パートの出力値と音声再生の出力値の総和をPWMデューティとすることで、
; 発声信号を1つのPWMポートに出力する
;②アナログ出力の最大周波数を5KHzとすると周期は200us、その10倍のサンプルレートにするため
; にはPWM周期は20usである必要がある
; (実験したところPWM周期が20usを超えると音が濁ってきたので20us辺りが限界と
; 感じた)
;③一方音声再生は、サンプルレートが8KHzのとき周期は125usになるので、両者間のタイミング
; 誤差を小さくすることを考慮して、Fosc=32MHz、TMR2のスケーラ無しでPR2=167、PWM周期は
; 21us、音声再生は6倍オーバーサンプリングとする
;④PWM周期での割込み処理でCCPRxLを更新する
; 従って21usの時間でオルゴール演奏の実装パート数分の出力値の計算を行わなければなら
; ない
; この時間に実行可能な命令ステップ数は168ステップしかない
;⑤音声再生はオーバーサンプリングなので、出力値の更新周期がオルゴール演奏よりも長くなる
; のとパート数が1のため、CPU負荷はオルゴール演奏に比較して無視できる
;⑥演奏開始直後にはCPU負荷が集中するので、CCPRxLへのデューティ設定データをバッファリング
; することでアンダーランを防止する
;⑦エンベロープの表現は、アタック時の出力レベルをディケイタイムに沿って1づつ減じて行くことで
; 実装する
; タイ・スラー修飾のときは音価の全期間で出力レベルを変化させない、また次の音符へ進む
; ときにパート出力の連続性を維持する
;⑧デューティ設定は8ビット分解能(CCPRxLのみ)とすることでバッファメモリを節約する
; PWM周期のカウント値は168になるので、実効的なPWM分解能は7ビット強になる
;⑨ベロシティの合計値がPWMカウント値を超えないように、オルゴール演奏と音声再生のボリューム配分
; を%値で定義する
; オルゴール演奏に閉じては、各パートのベロシティの和が255以下になるように音符データを作成
; すれば、ボリューム配分はオルゴールエンジン内で自動反映する
; 音声再生は、音声データを7ビットで作成すれば、ボリューム配分はオルゴールエンジン内で自動反映
; する
; 
;(2)タイミング制御
;①音高が2kHzのとき半周期は250usであり、1usを単位として数値化すれば0.4%の精度
; が確保できる
; 音高が125Hzのときは半周期は4000usになり、1us単位では16ビット長で数値化できる
; 音高の管理は、1usを単位とした半周期をPWM周期毎に評価して、半周期を超えたら
; パート出力を反転させることで、目的の周波数を発声させる
;②ディケイタイムの範囲を20ms~5sとすれば、その時間比は250であり8ビット長で数値化
; できる
; ディケイタイムの最小値20msの場合、ベロシティを200段階とすると1減算時間は100usとなり、
; PWM周期の21us単位では四捨五入して5カウントのプリスケーラを設ける
; ディケイタイムの管理は、100us毎にディケイタイムの時間比までカウントして、フルカウントでベロシティを
; 1減じていく
;③音符の長さを音価値として数値化するのに、付点音符を表現するには2で割切れる
; こと、3連符を表現するためには3で割切れることが必要であり、その最小値は6と
; なる
; 8ビット長で数値化できる音価値の範囲は、32分音符(=6)~全音符(=192)となる
;④テンポを100とすれば、音価の最小単位(32分音符の1/6)は12500us、PWM周期の21usで
; カウントすると595カウントとなる
; テンポを50~200に振らせても1190~298カウントとなる
; テンポは演奏中にもダイナミックに可変とするため、可変値を8ビットの数値にする必要があり
; ディケイタイムのプリスケーリング後に238~60でスケーリングし、さらに音価値でカウントする
; 音価値までフルカウントして次の音符へ進める
;
;(3)割込み処理
;①割込み処理はアンダーランを発生させないようにCCPRxLを設定するのみとする
;②割込み処理でのコンテキスト保存は必要最小限とする
;
;(4)曲構成のカスタマイズ
;①ソングデータの構成をテンプレート化し、共通のリスト処理でアクセスできるようにする
;②ソングデータへのポインタは1曲に付き1ラベルとし、曲名=ソースコードファイル名=ラベル名とする
;③演奏対象のソングデータのヘッダ部をレジスタ領域にコピーしておくことで、ソングデータへの
; アクセス手順を一律化する
;
;(5)メモリの有効利用
;①moviw命令により、256境界を跨るテーブルの検索を可能とし、メモリ空間を詰めてテーブルを
; 配置する
;②エンジン部分をPage0(0~0x3ff)に置き、その後にソングデータ部分と音声データ分部を
; 配置する
;
;(6)固有処理のカスタマイズ
;①プログラムソースをエンジン部と固有部に分け、エンジン部はブラックボックス化し、個別部ソースのみを
; カスタマイズすればよいようにする
;②固有の定数は個有部ソースに置き、エンジン部から参照する
;③割込み処理はCPU依存性があり、個有部ソースに配置する
;④固有のロジックは、CPU依存の初期設定処理やおもちゃ依存処理があり、コールバック関数と
; して個別部ソースに配置し、エンジン部から定期的にcallする仕組みにする
;⑤エンジン部の処理状態の把握のため、固有部からエンジン部の制御表を参照することは可能
;
;(7)ピン割当て、SFR指定のカスタマイズ
;①PWM出力のピン割当て、SFR指定は個別部で宣言する
;
;3.デバイスの選定
;ターゲットのデバイスはPIC12/16Fの18xx/19xx
;①強化命令使用
;②Foscは32MHz以上
;③PWM機能有り
;④データメモリは96バイト以上
;⑤プログラムメモリは2Kワード以上
;
;4.ソングデータフォーマット
;0x00:音符データの終了
;0x01:無条件分岐(次のバイトで分岐先を指定)
;0x02:リピート1回数設定(次のバイトで回数を指定)
;0x03:リピート1分岐(次のバイトで分岐先を指定)
;0x04:リピート2回数設定(次のバイトで回数を指定)
;0x05:リピート2分岐(次のバイトで分岐先を指定)
;0x06:ベロシティ設定(次のバイトでベロシティを指定)
; ベロシティは0~255
; 但し、オルゴール演奏と音声再生の合計がPWM周期カウント値を超えないように
; ベロシティを設定する必要があり、実際にはvel_macマクロで音符データ中に記述する
;0x07:ディケイタイム設定(次のバイトでディケイタイムを指定)
; ディケイタイムは1~255[10ms]
; 0のときはタイ・スラー演奏
;0x08:直指定音符データ(次の3バイトで音価と音高を直接指定)
; 音価をマクロ命令(cho_mac、ch5_mac、或いはch3_mac)で指定
; 音高をマクロ命令(on_mac)で指定
;0xX0:音価コードXで休符
;0xXY:音価コードXで音高コードYの発音

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;コールバック関数の要件
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;(1)固有の初期設定関数(CB_INIT)
;POR、およびリセット後に1度だけ呼び出される
;固有の初期設定の中では以下の処理を行う
;①周辺機能を構成する
;②演奏出力ポートを初期化する
;③おもちゃ固有の初期化を行う
;戻り値無し
;
;(2)固有の処理関数(CB_KOYUU)
;定期的(PLAY_OWN_MS[ms]毎)に呼び出される
;固有の処理の中では以下の処理を行う
;①オルゴール演奏の開始、再開始、中断を指示する
;②音声再生の開始、再開始、中断を指示する
;③LEDやモーター制御等のおもちゃ固有の処理を行う
;④必要により省電力設定をしてsleepする
;戻り値が0のときは処理を継続、!0のときはリセットベクタから再実行する

;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;コールバック関数で使用可能なエンジン部の関数
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;(1)曲選択処理関数
;input W:曲番号(0=演奏中断、1~255=指定曲番号を演奏開始)
;戻り値無し
;
;(2)音声選択処理関数
;input W:音声番号(0=発声中断、1~255=指定音声番号を再生開始)
;戻り値無し

【旧バージョンとの互換】
①旧バージョン(orgel2)に対して、コールバック関数の互換は無い。初期設定関数と処理関数の2つに集約した。

②コールバック関数内で使用可能なエンジン部の関数として、曲選択関数と音声選択関数の2つを今回のバージョン(orgel4)で新設した。

③割込み処理を固有部に配置して、CPU依存のカスタマイズをやり易くした。

④ソングデータは互換性があるので、orgel2のものが継続して使える。今回「アンパンマンたいそう」が追加された。

【サンプル音】
サンプル音(アンパンマンたいそう+ダメ)
このサンプルは、「アンパンマンたいそう」の演奏中に、「ダメッ」を発声させている。

実際におもちゃに組み込んだものは、修理事例の記事「アンパンマンたいそうベルトの修理(マイコン換装)」を参照。

【カスタマイズ】
上記のサンプルにおける、カスタマイズ部分のソースコードを以下に掲げる。

PICで電子オルゴール+音声再生カスタマイズコード

処理の内容は下記のとおり。
パート0(メロディ)の音符ステップ(先頭からの番号)の8の剰余が2のときに、音声番号1(ダメッ)を発声させる。
常時曲番号1(アンパンマンたいそう)を演奏させる。

上記のように、orgel4をおもちゃの修理に使う場合、曲の選択、音声の選択、及びそれらの演奏・発声のタイミングのロジックをカスタマイズすればよく、そのコーディング量は僅か数10ステップで事足りる。最少の手間で最大の成果が得られるので、各おもちゃ病院やおもちゃドクター様には是非使っていただきたい。

カスタマイズに関するご相談やカスタマイズ作業そのものも承りますので、ご遠慮なくお申し付け下さい。

【音声データの作り方】
①音声の内容を .wav形式で用意する。プロパティは8KHz、8ビット、モノラルとすること。

②上記①のファイルを音声データ変換ツールでdw疑似命令のファイルに変換する。
音声データ変換ツールは wav2dw.exe (DOS窓で実行する自作のプログラム)

このツールの機能は下記のとおり。
//WAVファイルからdw擬似命令を生成する
//WAVファイルは8kHz8bitモノラルPCM
//WAVファイルの先頭部分は制御情報と見做して、64バイト目以降を取込む
//dw擬似命令はPIC16F系用の14ビットデータを格納する
//1個のdw擬似命令に2個のPCMデータを下位7ビット→上位7ビットの順に格納する
//従って再生時は下位7ビット→上位7ビットの順に再生すること

コマンドラインは下記のとおり。
wav2dw.exe 入力ファイル 出力ファイル
入力ファイルは .wav形式のファイル
出力ファイルは dw疑似命令を時系列に羅列したファイル

コマンドラインの例
wav2dw_8kHz7bit\Release\wav2dw.exe dame8ksps8bit.wav dame8ksps7bit.asm

出力ファイルの例
  dw 0x177f
  dw 0x12b6
  dw 0x0002
  dw 0x148e
  dw 0x3fa5
   ・
   ・
   ・

③上記②の出力ファイルの内容を音声データのアセンブラソースファイルに貼り付ける。

【ダウンロード】
詳細な設計情報と開発プロジェクトは ここから ダウンロードできる。
ディレクトリ名「orgel4」がファームウェアのMPLABプロジェクトディレクトリである。
ディレクトリ名「wav2dw_8kHz7bit」が音声データ変換ツールのVisualStudio2008プロジェクトディレクトリである。
  1. 2015/01/13(火) 12:34:39|
  2. 電子オルゴール+音声
  3. | コメント:1

アンパンマンたいそうベルトの修理(マイコン換装)

1.患者
アンパンマンたいそうサウンドベルト(TOHO)
アンパンマンたいそうベルトの修理外観

2.症状
①「動かない」との申告。

②ネット検索したら、このおもちゃの(箱の印刷と思われる)説明が見付かった。

「たいそうモード」では
5曲のメロディの種類や曲の長さによって、声ガイドがいろいろな組み合わせで出てきます。
歩く・・・「はじめは てをおおきくふってあるこうね いちにいちに」
たたく・・・「つぎはパッドをたたくわよ タンタンタン」
ポーズ・・・「つぎはアンパンチだよ せーの!アーンパンチ!」
はやくたたく・・・「いそげー! タンタンタンタンタンタン」
走る・・・「はしるぞ いちにいちにいちにいちに」
ジャンプ・・・「つぎはジャンプするぞ ぴょんぴょんぴょん」
まわる・・・「つぎはくるっとまわりましょ せーの!くるりーん」

「サウンドモード」では
左右のパッドをたたくごとに楽しい音が出ます。
どうぶつのなき声
アンパンマンたちの声
たのしい音 など36種類!

このおもちゃは音声再生がセールスポイントになっているようだ。

3.診察
①マイコン制御のものはマイコンが動いていないと何も始まらないので、マイコンが動作しているのか確認が必要。先ずは、ハウジングを外して内部を観察する。
アンパンマンたいそうベルトの修理診察1
配線コードの断線や半田外れは無い。

②マイコン制御と言うより、基板にはCOB形状のマイコンしか載っていない。発振子も無い。目視で基板割れ、パターン断線、半田浮きが無いか確認したが、異常無し。
アンパンマンたいそうベルトの修理診察2

③スピーカーは、抵抗値4Ωあり、1.5Vを与えるとカリカリ音が出るのでOK。

④COBの間際のプリントパターンで、電源供給を確認したが異常無し。

⑤プリントパターンを総当たりで導通チェックしたが異常無し。

⑥基板上で、各押ボタンの印加電圧をCOBの間際のプリントパターンで確認した。ほぼ電源電圧が印加されている。各押ボタンはスタティック読込みだった。各押ボタンを押下すると印加電圧はほぼ0Vになるが、動きは見られない。

⑦最後にCOBマイコンを加熱してみたが、不動作のまま変わらない。

⑧以上の診察で、マイコン故障と判断した。

4.治療
①故障したCOBマイコンを、別の1チップマイコンで換装することにした。元々は音声再生機能なのだが、音声再生は多量のメモリが必要で、廉価な1チップマイコンにとっては不得手な機能だ。音声再生専用ICを利用する方法もあるが、100円程度のコストでは無理だ。
依頼者の「少しでも動くようにして欲しい」とのご要望をいただいて、アンパンマンの曲が鳴る電子オルゴールに改造することになった。

②性能・機能、メモリ量、コストを総合的に判断して、PIC12F1822-I/P(2014年秋月価格@100円)を採用する。おもちゃの内部は空きスペースが小さく、8ピンDIPパッケージを採用した。
元々の電源は電池3本の4.5Vだったが、換装回路は3Vで十分なので、3V電源に変更する。

③代替マイコンシステムを設計する。

【設計要件】
・本ブログの別記事 「PICで電子オルゴール」 と 「PICで音声再生」 のファームウェアをミックスして、オルゴール演奏と音声再生をコンカレントに実行可能とし、それぞれの起動制御も独立させる。
・「♪」ボタン押下で、「アンパンマンのマーチ」を演奏する。
・「たいそう」ボタン押下で、「アンパンマンたいそう」を演奏する。
・演奏中は音符に合わせて、ほっぺたのLEDを点滅する。
・「★」ボタン押下で、「ジャンプサウンド(ピョン)」を発声する。
・オルゴール演奏の有無に関わらず、サウンドの発声は任意に実行可能とする。
・オルゴール否演奏中は、ほっぺたのLEDをパイロットランプの役割として、一定周期でチカっとさせる。
・10分間何も操作されなかったらオートパワーオフ(sleep)する。

【回路図】
アンパンマンたいそうベルトの修理治療1

【費用】
マイコン PIC12F1822-I/P 100円
トランジスタやCR類 若干円

【ファームウェア】
開発したファームウェアと設計資料は ここから ダウンロードできる。フォルダ名「anpantaiso」がMPLABプロジェクトディレクトリになっている。

固有処理の記述は「demo_1822.asm」にあり、アセンブラで50ステップに満たないのと、コメントを多く入れてあるので理解し易いと思う。「PICで電子オルゴール」のおもちゃ修理への応用編として見ていただきたい。

ソフトウェア処理の特筆しておくべき事項は以下の通り。

(1)固有処理部がオルゴールエンジンからコールバックされるのは約10ms毎になるので、コール回数のカウントでオートパワーオフの時間管理を行う。

(2)音声再生の処理は現時点では標準化が進んでいないので、個別処理部から直接エンジン部分の制御表を設定するやり方を採っている。「PICで電子オルゴール」の今後の課題として改善していく考えである。

④代替マイコンシステムは極めて小規模であり、ハウジング内の収容スペースが小さいため、空中配線で作る。元々の基板には「★」ボタンの接点パターンがあるので、その部分のみを活かす。
アンパンマンたいそうベルトの修理治療2

⑤ファームウェアの実機デバグと各種の調整は、プログラマーからICテストクリップで接続して行う。
アンパンマンたいそうベルトの修理治療3

⑥ファームウェアが完成したら、マイコン回路をホットボンドで、元々の基板に張り付けて、換装作業が完了。
アンパンマンたいそうベルトの修理治療4

⑦ハウジングを組み立てて、動作確認を実施し良好であった。
  1. 2015/01/06(火) 17:25:50|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:4

プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物の複製、改変および再配布はフリーです。読者様のおもちゃ病院活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。なお、公開ファイルは最新版を載せているので、古い記事の内容から変わっている場合があります。

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