名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

TX2、RX2を換装したときのFoscの調整

【この記事の話題】
TX2/RX2は5アクションのリモコン用ICで、Toyラジコンでよく使われている。
オリジナルはREALTEKで、ActionやSilan、HLECなどから類似品種が提供されている。

これらのICが故障したとき、類似品で換装しただけでは動かず、クロック発振回路の抵抗値を調整しなければならない。
調整せずに動いたとしても、ズレていないことのチェックは必要だ。

この記事では、「調整が必要な理由と調整方法」を明らかにする。

【調査結果】
これらのICは内蔵のインバータでクロックを生成し、そのFoscは外付けのRosc(とCosc)で決定される。尚、Coscは実装されないケースが多いようだ。

REALTEK、Action、Silan、HLECのデータシートを確認したところFoscの値は同じであった。
・RF用途では Fosc=128KHz、この値でCodeSpeedが500Hz及び1KHzになる。
・Ir用途でキャリア周波数が57KHz(海外で用いられる)では Fosc=114KHz
・Ir用途でキャリア周波数が38KHz(日本国内で用いられる)では Fosc=76KHzが標準で、各社共通になっている。
Rosc(とCosc)に対するFoscの特性はデータシートでは明確になっていないので、実測したところ品種間で特性が大きく異なることが判った。
そのため、類似品種のデバイスで換装すると元のRoscのままではFoscが違ってくる。これがRoscを調整しなければならない理由だ。

しかし、ICは故障してしまっているので、もはや元のFoscを知ることができない。
それでどうするかと言うと、データシートのテスト回路に、TX2とRX2のFoscを一致させることが記されている。
つまり、TX2の場合は相手のRX2に、RX2の場合は相手のTX2にFoscを合せればよい、と言うことだ。

実際の調整作業で注意することは、OSCOのピンでFoscを測定することだ。OSCOは内蔵インバータの出力側なので、測定プローブを付けても影響が少ない。

実測の結果、Toyラジコンの商品によってFoscがまちまちであり、データシートの標準値とも大きく異なっていた。
RF用途ではFoscは128KHzでなくても、送信側と受信側が合っていればよい。データシートには許容誤差は±20%となっている。
Ir用途ではキャリア周波数を赤外線受信モジュールに合せる必要があり、精度が必要だ。日本国内では赤外線リモコンのキャリア周波数は38KHzなので、Foscを76KHzにしないといけない。

【実測結果(ケース1)】
REALTEK TX2 Rosc=120K Cosc無し

OSCO(ピン5)のクロック波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形1
Fosc=169KHz が出ていた。
REALTEKのデータシートにはRoscとFoscの関係が載っていないので、評価できない。

SO(ピン8)のRF用エンコード波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形2
エンコード波形は W1=760us、 W2=1520us となっており、データシートの W1=1ms、 W2=2ms と大きく異なるが、Foscの比に合致する。
Foscの比=169KHz/128KHz=1.32
エンコード波形周期の比=760us/1ms=1/1.32

SC(ピン7)のIr用エンコード波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形3

SC(ピン7)のIr用エンコードのキャリア波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形4
キャリアの周期は11.8usで、キャリア周波数は84.7KHz。
Ir用Fosc=114KHzで換算すると、84.7KHz*114KHz/169KHz=57.1KHzとなる。

【実測結果(ケース2)】
Action TX2C Rosc=150K Cosc無し

OSCO(ピン5)のクロック波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形5
Fosc=216KHz が出ていた。
ActionのデータシートにはRosc・CoscとFoscの関係が載っているが、この基板にはCoscが実装されていないので、評価できない。

SO(ピン8)のRF用エンコード波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形6
エンコード波形は W1=590us、 W2=1180us となっており、データシートの W1=1ms、 W2=2ms と大きく異なるが、Foscの比に合致する。
Foscの比=216KHz/128KHz=1.69
エンコード波形周期の比=590us/1ms=1/1.69

SC(ピン7)のIr用エンコード波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形7

SC(ピン7)のIr用エンコードのキャリア波形
TX2とRX2を換装したときのFoscの調整波形8
キャリアの周期は9.2usで、キャリア周波数は109KHz。
Ir用Fosc=114KHzで換算すると、109KHz*114KHz/216KHz=57.5KHzとなる。
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  1. 2015/08/16(日) 18:23:06|
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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

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