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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

SN76604N(リモコンサーボアンプ)を代替するICの製作(第2弾:ステアリング制御)

【前振り】
①プロポ式のラジコンのサーボアンプにはTI社のSN76604Nがよく使われている。このICが壊れていると、国内では入手が難しいし中華サイトでも百円強(2015年)していて修理に困る。そこで、PICでSN76604Nを代替するファームウェアを開発した。

②前回は第1弾として スロットル制御への応用 を公開したが、今回は第2弾として、ラジコンカーのステアリング制御への応用を目的としたファームウェアを公開する。送信機から送られてきた操作角と実際のステアリングの動作角の差を検出して、その差が無くなるようにステアリングモーターをPWM制御する。

③スロットル制御ではchパルス巾からPWMデューティを決めて駆動モーターを制御するだけだが、ステアリング制御ではメカの動作をフィードバックしてモーターを制御する必要がある。

【要件と実現方法】
①SN76604Nはchパルスを入力して、DCブラシモーターを直接駆動する機能を持っている。サーボ制御するための基準パルス回路、エラーアンプ、パルスストレッチャ回路、ロックアウト回路等を内蔵していて、基準パルス、デッドバンド、デューティ等を外付けCRで調整することができる。

②SN76604Nは最大負荷電流が400mAのHブリッジを内蔵している。PICではモーターを直接駆動することは不可能なので外付けのHブリッジが必要になり、PICからHブリッジの制御信号を出力することになる。

③SN76604NはアナログICなので動作条件の調整のために多くの外付けCR部品を必要としているが、PICでは調整パラメータをファームウェア内に数値で記述するので調整のための外付け部品は一切必要が無い。これはマイコンで実現する場合の大きなメリットだ。

④SN76604Nの電源電圧は6Vまでだが、PICは5.5Vまでである。このため電源の供給と周辺回路との信号レベルの整合は個別に設計が必要になるかも知れない。

⑤入力ポートはchパルスと動作角検出ボリュームからのアナログ電圧の2本、出力ポートはHブリッジへの正転と逆転の2本、合計4本のポートで済む。それで、8ピンで最も廉価な10F322(2015年秋月価格45円)を採用する。10F322は16MHzの内部オシレータが使え、PWMモジュールを2本内蔵し、ADCも内蔵しているので、今回の応用には最適だ。Hブリッジと基板込みで総額100円以下でできる。

【仕様】
①chパルスのパルス巾は1.0ms~2.0msとする。正論理/負論理をファームウェア内のパラメータで選択が可能。分解能は10usとし、操作角を100段階で識別する。

②PWM周期値は127、PWMパルス巾の最小値は16usとし、PWM周期は2ms(500Hz)となる。SN76604NでのPWM周期はプロポ信号のフレーム周期の20ms(50Hz)程度であるので、10F322では10倍の高速化が図れる。なお、Hブリッジの応答速度が遅い場合はそれに見合った動作速度に合わせる必要がある。

③動作角を相応するchパルス巾に変換して、操作角に対応するchパルス巾と比較し、ステアリングモーターの正転/逆転とPWM制御をおこなう。動作角から相応するchパルス巾への変換はテーブル検索によって行い、設定の柔軟性を担保する。動作角と操作角との差からPWMデューティへの変換もテーブル検索によって行い、設定の柔軟性を担保する。

④chパルスが0.7ms~2.3msのとき有効コードとする。それ以外のときは無効コードとして読み捨てる。

⑤有効コードが途絶えたときは直前の有効コードでステアリング制御を継続する。

⑥電源投入後はステアリングはニュートラルになる。

⑦上記の仕様はカスタマイズが可能である。

⑧ポートの割当て
;RA0(PWM1):正転側ローサイド出力
;RA1(PWM2):逆転側ローサイド出力
;RA2(AN2):動作角のフィードバック入力
;RA3:chパルス入力

【適用回路例】
SN76604N_s_322適用回路例

【テスト基板】
部品面
SN76604N_s_322①

半田面
SN76604N_s_322②

車体への実装
SN76604N_s_322③

ステアリングモーターと動作角検出ボリュームへの配線
SN76604N_s_322④

【動作テストの動画】

動画が視られない場合は記事最後のダウンロード先からダウンロードしてご覧ください。

【動作時の信号波形】
chパルス巾=1.5ms
動作角=操作角 でバランス(差が0)している状態。正転も逆転もオフになっている。
SN76604N_s_322波形1

chパルス巾=1.5ms
動作角>操作角 で弱オーバー状態。逆転がオンになっている。
SN76604N_s_322波形2

chパルス巾=1.5ms
動作角>>操作角 で強オーバー状態。逆転がフルにオンになっている。
SN76604N_s_322波形3

chパルス巾=1.5ms
動作角<操作角 で弱アンダー状態。正転がオンになっている。
SN76604N_s_322波形4

chパルス巾=1.5ms
動作角<<操作角 で強アンダー状態。正転がフルにオンになっている。
SN76604N_s_322波形5

chパルス巾=1.1ms
動作角=操作角 でバランス(差が0)している状態。正転も逆転もオフになっている。
SN76604N_s_322波形6

chパルス巾=1.1ms
動作角>操作角 で微弱オーバー状態。逆転が少しオンになっている。
SN76604N_s_322波形7

chパルス巾=1.9ms
動作角=操作角 でバランス(差が0)している状態。正転も逆転もオフになっている。
SN76604N_s_322波形8

chパルス巾=1.9ms
動作角<操作角 で微弱アンダー状態。正転が少しオンになっている。
SN76604N_s_322波形9

【ダウンロード】
開発したファームウェアの資料とMPLABプロジェクト一式は ここから ダウンロードできる。
解凍後のディレクトリ 「SN76604N」 の 「SN76604N_s_322.mcp」 がMPLABプロジェクトファイルになっている。

動作テストの動画はディレクトリ 「ブログ貼り付け図」 の 「SN76604N_s_322動作確認動画.mp4」 に入っている。

chパルスや動作角検出等のパラメータは標準値になっているので、他のおもちゃに適用する場合はカスタマイズが必要である。全ソースを公開しているのでカスタマイズは自由に行うことができる。または当方へカスタマイズを依頼して貰っても良い。カスタマイズのご要望は 「故障したICやマイコンの代替品をお作りするサービス」 を参照。

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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

本ブログで公開している技術情報や成果物のご利用および再配布はフリーです。読者様の技術活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。

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