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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

Q-STEER送信機の修理(マイコン換装)

1.患者
Q-STEER 2台
Q-STEER送信機(マイコン換装)1

2.症状
①動かない。

3.診察
①2台とも送信機から赤外線が出ていない。

②COBチップの間際で、GND、Vcc、SW入力を確認したが異常を認めず。LEDへの出力は出て来ない。

③外付けの発振子は無い。

④1台はクロック発振の時定数と思われるCR部品があり、25kHz~30kHzで変動する矩形波が載っていた。放置しておくと時折赤外線が出てくるが、デタラメな信号である。

⑤送信機のCOBチップ不良と判断した。

⑥Q-STEERのクローン送信機から赤外線を送ると車は2台とも正常に動くので、車体の方に不具合はない。

【クローン送信機】
Q-STEERクローン送信機

4.治療
①COBチップをPICで換装する。

②Q-STEERのプロトコルは、多くの先達がWebに公開している。このブログでも 実機を調査した結果 を公開している。診察で使ったク ローン送信機は、 おもちゃドクター研修会の製作ネタ で作ったもので、そのファームウェアをベースに開発する。

③クローン送信機には、Sleep/WakeUpの機能は無かったので、今回はそれを実装して実用的なものに仕上げる。

【デバイス選定】
④入力は操作ボタンの前、後、左、右、ターボで5本。出力はLEDの1本。内蔵モジュールは必要無くて、I/Oポートさえあればよい。8ピンDIPの最安で12F509(2016年秋月価格@50円)を選定した。

⑤Q-STEER送信機はch切替え機能があり、スライドSWにてchA、chB、chC、chDの何れかが選択できる。しかし8PINのデバイスではもう空きポートが無く、このSWの読み取りに独立したポートを割り当てられないので工夫が必要だ。ピン数の多い16F1503(2016年秋月価格@80円)を採用すればよいのだが、コストが1.6倍に跳ね上がってしまう。それと送信機内部の空き空間が小さいので多ピンのデバイスは実装し難い。

【設計】
⑥操作ボタンを読み込んで、エンコードして、赤外線LEDを点滅させるだけなので、運転操作の機能を設計する上では特段の問題は無い。

⑦Sleep/WakeUpの設計では考慮すべき事項がある。12F509ではポートチェンジによるWakeUpが可能なのはGP0、GP1、GP3の3本なので、すべての操作ボタンでWakeUpさせることができない。そこで、左と右のボタンはWakeUpの対象から外した。前、後のボタンが押されないと車は走らないので、左と右の単独の操作で動かなくても実害はない。

⑧ch番号の設定は、電源オン後に最初に押された操作ボタンでchを決定することとした。その対応付けは以下のとおりとした。

 前:chA、後:chB、左:chC、右:chD

・Q-STEERの送信機には電源SWがないので、「電池を入れた後に最初に押された操作ボタン」ということになる。

・ch番号設定の具体的な手順は以下の通り。

1. 送信機に電池を入れる。このときターボボタンを押さないように注意する。

2. 前後左右のボタンの何れかとターボボタンを同時に押す。

・電源オン後にch番号が設定されるまで操作ボタンをポーリングをし続けると電池を消耗してしまうので、Sleepしてボタンが押されるのを待つことになる。しかしWakeUpできるのは3本だけなので、WakeUpの要因となったポートでchを決定することができない。そこで、ターボボタンと上記のch選択ボタン(前、後、左、右)を同時に押してch番号を決定する操作方法とした。

・ch番号を変更する際に電池を抜き差しするのが面倒なので、ターボボタンのみを2.5秒以上長押しするとch番号を含むすべてのデータを初期化するようにした。従って、通常の運転操作ではターボボタンのみの長押しを禁止する制約になる。元々ターボボタンは停止の信号が送信されるようになっていて、停止を長時間送信し続ける必要性はないので実害はないと考える。

・ch番号再設定の具体的な手順は以下の通り。

1. ターボボタンを3秒以上押す。

2. 前後左右のボタンの何れかとターボボタンを同時に押す。

・12F509はSleepからWakeUpするとResetされる。STATUSのGPWUFにPORかWakeUpかのReset要因が表示されているので、PORのときにはch番号設定を行い、WakeUpのときには設定済みのch番号を引継ぐ。

・隠し機能として、送信機に設定されたch番号を受信側へ通知する機能、所謂ペアリング機能を持たせた。受信側を8ピンPICで換装する必要が生じた場合に、ch番号設定SWを読み込むポートが残っていないので必要になる機能だ。正規製品では使われていないコマンドコードb’0000’でch番号を送信する。

⑨実装して判ったことは、電源を入れ直してもPORしないこと。12F509にはBORが無いのでVddが相当下がらないとリセットされない。と言って放電用の抵抗を付ける訳にもいかない。そこで、電源オン(電池セット)の前に左または右のボタンを3秒間押して貰うことにした。このボタンには外付けのプルアップ抵抗が付いているのでCPUの状態に関わらず、完全に放電させることができる。電源のパスコンは10uF、プルアップ抵抗は33kΩであり、時定数は330msになるので3秒あれば放電する。

・電池交換の具体的手順は以下のとおり。

1. 電池を外す。

2. 右ボタンを3秒以上押す。

3. 電池をセットする。

4. ch番号の設定を行う。

⑩ファームウェアと資料は ここから ダウンロードできる。

⑪回路図は省略(特殊な回路ではないので作っていない)。ポートの割り当てはソースコードのコメントを参照。

【実装】
⑫不良のCOBチップはエンドミルで基板から削り落とした。

⑬元々の基板では操作ボタンはハイサイドに配置されていて、正論理でCOBチップに入っていた。しかし、PICにはポートのプルダウン機能が無いので、負論理になるように配線を変えた。なお、GP2とGP4には内部プルアップ機能が無いので33kΩを外付けした。

⑭部品代

・12F509 50円
・セラコン106 5円
・抵抗33kΩ×2 2円
 合計57円(1台当たり)

Q-STEER送信機(マイコン換装)2

Q-STEER送信機(マイコン換装)3

Q-STEER送信機(マイコン換装)4


⑮実装後のファームウェア書換えはICクリップでプログラマーと繋いで行っている。これが一番簡便でコストが掛からない。
Q-STEER送信機(マイコン換装)5

Q-STEER送信機(マイコン換装)6
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  1. 2016/07/05(火) 00:27:25|
  2. マイコン換装
  3. | コメント:0
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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

本ブログで公開している技術情報や成果物のご利用および再配布はフリーです。読者様の技術活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。

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