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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

27MHz~2.4GHz対応のRFチェッカー(ラジコン電波検知器)の製作(LT5534)

27MHz/40MHzのラジコンの診断ではダイオード検波器による ラジコンモニター を使っているが、それでは2.4GHzの電波は検知できないので、27MHzから2.4GHzまで検知可能なRFチェッカーを作った。厳密に言えば、電波を検出する部分だけなので「RFチェッカーのRFデテクタ部」と言う方が正しい。検出の結果はデシベルスケールの電圧で出力される。

この RFチェッカー(ラジコン電波検知器)の使い方 について問い合わせが多いので、先に 注意点 を掲げておく。

27MHz~2400MHzRFチェッカー使い方注意

オシロはないが、それでも視覚で確認したい、と仰る向きには 「RFチェッカー(ラジコン電波検知器)表示部の製作」 を参考にされたい。

この製作は、トラ技2017年4月号の特集記事第2部第7章「2.4GHzレベルチェッカ」の猿真似であり、また、回路はデータシートのテスト回路のコピーで独自の設計はしていない。素人は、無い知恵を絞らないで猿真似に徹することが成功の秘訣だ。

このRFチェッカーの評価にはタカラトミーのバトロボーグを使った。バトロボーグは他のラジコンに比較して、送信パケット長が短く送信間隔も長いので、RFチェッカーとしては厳しいターゲットになるためだ。

1.回路図と配線図
27MHz~2400MHzRFチェッカー回路図


27MHz~2400MHzRFチェッカー配線図

・主要部品の LT5534 は50MHzから3GHzまでのRFパワーデテクタ専用ICで、

   入力パワーレンジは -63dBm~-3dBm @2.5GHz
   出力は 約0.2V~2.4V @Vcc=3V のデシベルスケール
   電源は2.7V~5.25V、10mA以下で動作

である。ラジコンのRFチェッカーに必要十分な機能と性能を持っていて、これ1個だけで作れてしまう。

・動作範囲は 50MHz以上 となっているが、以下の評価結果のとおり27MHzでも十分な実力を持っている。

・LT5534は国内では入手し辛いので AliExpress で入手した。2017年6月30日時点で $20.50/10個+送料無料 だった。少々値が張るが、RFダイオードでの検波とは比較にならない高機能と高性能が得られるので、RFチェッカーを作るなら LT5534 をお薦めする。

・27MHz~2.4GHzの広帯域とするため、敢えて入力側にバンドパスフィルターを付けない。

・LT5534のVoutの出力特性が掃き出し200uAのため、1kΩでプルアップしている。

・220pを多用しているが、220pをリール買いしているので部品定数がラフな場合はできるだけ220pに寄せているのが、その理由だ。

・2.4GHzの信号が流れる部分はアンテナからLT5534の入力ピンまでなので、その経路とパスコンのみ部品配置と配線距離を考慮しておけば、それ以外は繋がっていれば動作上の問題は生じない。ベタアースも必要無かった。

・出力側のローパスフィルターは、ノイズ電波による出力レベルを抑えたいときはCを大きくするとよい。1000pを超えると応答特性が損なわれる。以下の評価は220pを実装したときのものである。

・製作の再現性を確認すべく、10台作ってみたがどれも同じように動作した。すべてが専用ICに依存しているので、誰が作っても間違いなく所定の性能を発揮するだろう。

2.外観
基板(1kΩのプルアップ抵抗は設計変更で追加したため画像上では装着されていない)
27MHz~2400MHzRFチェッカー外観1

30mmのアンテナと各信号線を接続した様子(1kΩのプルアップ抵抗は設計変更で追加したため画像上では装着されていない)
27MHz~2400MHzRFチェッカー外観2

3.評価

【評価結果のサマリ】

①ラジコンを診断するのに十分な機能と性能であることが確認できた。

・27MHzから2.4GHzまで広帯域に、しかも微弱電波でも高感度に検知できる。

・送信電波の包絡線波形の観測に十分な応答特性である。

・因みに、市販されている盗聴器発見器(AWT-01)では27MHz/40MHzのラジコンは検知するが、2.4GHzのラジコンであるバトロボーグの電波は検知しない。WiFiルーターは検知するので、感度が悪いのであろう。2.4GHzまでのカウンター(Gy560)はバトロボーグのコントローラを開けて、基板アンテナに密着させると反応はある(周波数がランダムに出る)が、信号強度を示すバー表示はゼロのままである。AWT-01よりはマシだが、2.4GHzのラジコンの診断ツールとしては有効ではない。

②このRFチェッカーを使うときは、出力がデシベルスケールであることに留意する必要がある。

・入力レベルが低い領域では敏感に、入力レベルが高い領域では鈍感に出力値に反映されるため、出力を波形観測するとレベルの低いところではノイズが大きく拡大されたように表示される。

・AM変調された電波を診ると、変調波がレベル圧縮されたように見える。

③RFチェッカー自体の評価ではないが、2.4GHzの電波をチェックするときに留意すべきことがある。

・ラジコンも含めて2.4GHzの電波を使う機器は、非常に短い時間だけ間欠送信しているため、RFチェッカーの出力の平均値は極めて小さくなる。このため、RFチェッカーの出力電圧をテスターで測るなどして平均値を測定したのでは有意な値としては認識できない。

・RFチェッカーの出力を波形観測するのが簡便で確実だが、それができない環境ではピーク値を測定する必要がある。

・定量的な評価はできないが、音として聞くと間欠送信の有無は確認できる。特徴的な音がするので、慣れればそれでラジコンの一次切り分けは可能だ。

実際のモニター音はこれ

【評価の詳細】

タカラトミーのバトロボーグで評価した。
バトロボーグはコントローラとロボットが双方向の通信を行っている。

先ずは、コントローラからのペアリング信号を観測する。コントローラから10cm程度に距離を離して観測している。
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-1説明
巾の狭いパルス状に飛び出た部分がコントローラが間欠送信している期間であり、この部分を評価しなければいけない。その他の低いレベルでざわついている部分は空間を漂う雑多な電波、所謂ノイズである。

ラジコンに限らず、2.4GHz帯での通信は送信時間をできるだけ切り詰めて、間欠送信するように設計されている。その理由は以下のとおり。

・2.4GHz帯には多種類・多数の無線局が存在し、それぞれが勝手気ままに通信している。

・そのため、常に送信の衝突による混信が生じ得る。

・衝突する確率を低くするためには、送信時間を短くすることが効果的である。

LT5534の出力対入力特性は下図のとおりで、これに照らし合わせるとLT5534の入力レベルは、間欠送信は-10dBm、ノイズ電波は-40dBm程度と読み取れる。
OUTPUTvsINPUT.png

ペアリング信号のフレームの繰り返し周期は200ms。

27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-2
1フレームで5回送信。

27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-3
1回の送信時間はたった270usしか無い。つまり、送信している時間の比率は0.7%しか無い。

  270us×5回/200ms=0.7%

ペアリングが完了して通常の操作をしているとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-4
頻繁に送信している。

27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-5
送信周期は9.5ms。

27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-6
1回の送信時間は270us。

次に、ロボット側の送信電波を観測する。ロボットから10cm程度に距離を離して観測している。

ペアリング前
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-7
コントローラからのペアリング信号を待ち受けていて、ロボットからは送信しない。

ペアリングが完了して通常の操作をしているとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-8
頻繁にコントローラと通信している。

27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-9
送信周期は数msから10数msで不定。

27MHz~2400MHzRFチェッカー波形1-10
1回の送信時間は270us。


次に、27MHzデジタル式ラジコン(TX2)の送信電波を観察する。コントローラから30cm程度に距離を離して観測している。

「前進」のとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-1
TX2の「前進」の信号波形が観測できた。
レベルの低い部分ではノイズが大きく表れているが、LT5534がデシベルスケールのために、エンコード信号がLの時にはノイズが強調されたように表示されるためである。

次は、27MHzアナログ式ラジコン(2トーン+デューティ式)の送信電波を観察する。コントローラから30cm程度に距離を離して観測している。

「前進」のとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-2

「前進右折」のとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-3
アナログ式の変調信号が観測できた。
レベルの低い部分ではノイズが大きく表れているが、LT5534がデシベルスケールのために、エンコード信号がLの時にはノイズが強調されたように表示されるためである。

今までノイズのように表示される部分を 「空間を漂う雑多な電波」 と言ってきたが、それが本当に外部起因の雑多な電波なのか、それとも内部起因の動作ノイズなのかを確認する。そのやり方は、RFチェッカーをシールドケースに入れて外部から遮蔽し、ノイズ成分が出力信号に残るかどうかで評価する。シールドケースとして金属製のお菓子の箱を利用した。
27MHz~2400MHzRFチェッカー遮蔽1

蓋が開いているときのVout
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-1
大きなノイズが出力されている。

蓋を閉じてVoutを観測する。
27MHz~2400MHzRFチェッカー遮蔽2
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-2
かなりVoutのレベルが下がったが、ノイズは乗っている。

Voutを引き出しているコードを巻き状にして手で強く握った状態で観測する。
27MHz~2400MHzRFチェッカー遮蔽3
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-3
Voutは0.2Vになり、載っていたノイズもかなり小さくなった。

RFチェッカーの電源を切って観測する。
27MHz~2400MHzRFチェッカー波形2-4
Voutは0Vになるがノイズは残ったままで、これは観測系が拾っているノイズである。

以上の観測結果から、LT5534はノイズを誤検知しているのではなく、正しく外部の雑多な電波を検知していることが確認できた。

4.実装過程
SSOPのチップを無理やり2.54mmピッチの蛇の目基板に載せている。良い子は真似をしないでね。

真面目にピッチ変換基板を使って実装した事例は こちら

蛇の目のランド間にGNDラインを通すため、巾0.4mm、深さ0.4mmの溝を掘る。
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板1
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板2
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板3

GNDラインを敷設する。線材は1/6W抵抗のリード屑(0.4mmΦ)を利用すると良い。
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板4

部品を取り付ける。(1kΩのプルアップ抵抗は設計変更で追加したため画像上では装着されていない)
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板5

Vccラインは裏側で配線する。
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板6

リード線を付けて完成。(この画像には設計変更で追加した1kΩのプルアップ抵抗が装着されている)
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板7

話が前後するが、GNDラインを敷設するための溝は百均のダイヤモンドカッターを使った。
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板8

1枚だけ作るのであれば、目立てヤスリでも加工できると思う。
27MHz~2400MHzRFチェッカー基板9

5.おまけ
【簡易なピークレベルの測定】

LT5534のVoutをショットキーダイオードで整流して大まかなピーク値が測定できる。LT5534のVoutの掃き出し能力は200uAしかないので、1kΩのプルアップ抵抗が活躍する。

回路図と配線図
27MHz~2400MHzRFチェッカー回路図2

27MHz~2400MHzRFチェッカー配線図2

LT5534のVout(OUT)と整流後の波形(OUTpeak)を観測する。

コントローラがOFFのとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー整流波形1

コントローラをONにして、10cm離したとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー整流波形2

コントローラに近接させたとき
27MHz~2400MHzRFチェッカー整流波形3

ショットキーダイオードのVf分だけレベルが下がっているが、ほぼピーク値が保持されている。ラジコンの一次切り分けとして使うには、これでも可と思う。

【おまけのオマケ】
このRFチェッカーに繋いで、平均値とピーク値を10セグメントのバーLEDに表示する 「RFチェッカー表示部」 を作っちゃいました~。ラジコンの電波がつぶさに見えて快適だ。記事は ここ
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  1. 2017/07/08(土) 21:57:42|
  2. 2.4GHzラジコン
  3. | コメント:4
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コメント

Re: コメントありがとうございます

トラブルシューター様
つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。
当方のブログにコメントをいただきまして有難う御座います。

貴殿ではRFチェッカー製作準備中の由、当方からのご提供は不要ということですね。

スペクトラム拡散方式と言っても2.4GHz帯の帯域内での拡散ですので、BPFの有無でRFチェッカーの感度が左右されることはありません。勿論、BPFを入れるとその損失分は当然感度が下がりますが、スペクトラム拡散方式に起因することではありません。この点、誤解をされているようなので、逆コメントしておきます。

ラジコンの電波が検知し難い理由は2つあります。
一つ目は出力レベルが微弱であること。技適のあるWiFi等に比べて格段に弱く。20dBm以上の差があります。
二つ目は送信時間が極めて短時間であること。データペイロードがWiFi等に比べて格段に短いため、送信時間率は1/10以下です。

一つ目の理由は、デテクタ素子の性能に依存しますから、LT5534の採用で回避できます。
二つ目の理由は、デテクタ出力をオシロで波形観測するかピークホールドしてラジコンが送信している瞬間の値を測定することで回避できます。これから製作されるとのことですので、設計に反映いただくと幸いです。
  1. 2017/07/26(水) 07:38:59 |
  2. URL |
  3. 大泉茂幸 #-
  4. [ 編集 ]

コメントありがとうございます

非常に詳しく分析されていますね。参考になります。LT5534は注文中ですので入手出来ましたら確認したいと思います。問題があれば相談させていただきます。
2.4GHz帯の変調方式はVHF/UHF帯と異なり、スペクトラム拡散(SS方式)となっており、これは遠く宇宙を飛んでいる探査衛星との通信に使われたものが、今では民生用にも広く利用される様になりました。その変調方式からか、広い周波数帯域に微小な信号が分布するので、少し離れると検出が難しいのでしょう。LT5534をフィルター無しで使っていますので、その点近距離では有効に検出出来ているのでしょう。
  1. 2017/07/25(火) 22:02:20 |
  2. URL |
  3. トラブルシューター #EMpzn6.6
  4. [ 編集 ]

Re: LT5534

Re: LT5534

復帰されましたか。ブログをチェックしてはまだなのかなぁ、と思っていました。

LT5534はホントに素晴らしい石ですね。まぁRFパワーデテクタ専用ICですから当然かも。
次回ついでにと言わず、送料無料ですから単発ですぐに注文してください。

僕もRFダイオードを試してみましたがどれも良い結果が得られず半ば諦めていたのですが、おもちゃ病院新津(新潟)MS工房さんからトラ技の記事を教えられて、試作したところ極めてFBでした。トラ技は定期購読しているのですが、4月号はフレッシャーズ特集で「テスター活用」のタイトルを見て真剣に読んでいませんでした。今までの試行錯誤がバカみたいに思いました。

ところで、この記事に不適切な点があればご指摘をお願いします。
  1. 2017/07/10(月) 17:04:49 |
  2. URL |
  3. 大泉茂幸 #-
  4. [ 編集 ]

LT5534

お久しぶりです。
1年以上休止していましたが、
ぼちぼちとリハビリ的に復帰しています。
このデバイス知りませんでしたが、面白そうですね。
この次aliexpressに発注する時についでに買おうと思います。
2.4GHz用ラジケータは以前にショットキーDを使って
倍電圧検波やオペアンプ追加とか色々検討しましたが、
まともな物は出来ませんでした。
  1. 2017/07/10(月) 12:37:42 |
  2. URL |
  3. HRH #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

本ブログで公開している技術情報や成果物のご利用および再配布はフリーです。読者様の技術活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。

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