この
RFチェッカー(ラジコン電波検知器)の使い方 について問い合わせが多いので、先に
注意点 を掲げておく。

【前振り】
従来のRFダイオード式の電波検知器では2.4GHzを検知できず困っていたところ、トラ技2017年4月号の特集記事で LT5534 が紹介されて、その性能に飛び付いた。試作して評価した結果、
ラジコン電波検知器として十分な実用性が確認 でき、既に
増殖とおもちゃ病院への頒布 を始めている。
問題は LT5534 のお値段で、AliExpressの最安でも@$2.05(2017年8月)もすることだ。増殖と頒布を進めて行くにはより廉価なデバイスに替える必要がある。そこで、RFパワーデテクタの範疇で別のICを捜したところ、AD8314 が見付かった。AliExpressの最安で@$0.35(2017年8月)だ。
今回は AD8314 を使ったRFチェッカーを作ったので紹介する。厳密に言えば、電波を検出する部分だけなので「RFチェッカーのRFデテクタ部」と言う方が正しい。検出の結果はデシベルスケールの電圧で出力される。
【AD8314の特性】
・AD8314 の主な諸元は以下のとおり。
入力パワーレンジは -45dBm~0dBm 100MHz~2.7GHz
出力は 約0.01V~1.2V @Vcc=3V のデシベルスケール
出力電流は 掃き出し2mA/吸い込み1mA
電源は 2.7V~5.5V、10mA以下で動作
・入出力特性は以下のとおり。

・LT5534と比較して若干感度が劣るが、空間を漂っている雑多なノイズ的電波で-40dBmくらいを検出するので、それ以上の感度は必要ない。
・出力が1Vくらいしか出ないがミニオーディオアンプに繋ぐには十分なレベルである。掃き出し出力電流が比較的大きいので、(LT5534のときのような)プルアップ抵抗は不要である。
・動作範囲は 100MHz以上 となっているが、以下の評価結果のとおり27MHzでも十分な実力を持っている。
【回路図】

【外観】



【モニター】
このRFチェッカーに繋いで、電波の包絡線を音で聞くためのモニターは
ここ を参照。
【使ったピッチ変換基板】
秋月電子
表面実装用8ピン(Bパターン)(0.65mm)DIP変換基板(9枚入)[AE-TSSOP8P-DIP] 100円(2017年8月)
通販コード P-02821

【評価】
タカラトミーのバトロボーグでペアリング信号を観測する。コントローラから10cm程度に距離を離して観測している。



27MHzデジタル式ラジコン(TX2)の送信電波を観察する。コントローラから30cm程度に距離を離して観測している。

27MHzアナログ式ラジコン「RadiCan」(2トーン+デューティ式)の送信電波を観察する。コントローラから30cm程度に距離を離して観測している。

以上で ラジコン電波の包絡線観測やレガシィラジコンのプロトコル調査をするのに十分な性能が確認された。
この評価結果により、今後頒布するRFチェッカーはAD8314を採用したものに切り替える。
【実装】
このRFチェッカーの製作で、AD8314のピッチ変換基板への実装が1番の山場になる。
増殖を進めるのには、この作業の効率化が欠かせない。
そこで、ピッチ変換基板の固定具とチップのピックアップツールを工夫した。
ピッチ変換基板の固定具

1mm厚のアルミ板を巾10mm、深さ0.5mmで掘り込む。
この掘り込みにピッチ変換基板を差し込むと固定される。

ピッチ変換基板のランド部分は予め半田をこんもりする程度に載せておく。
チップのピックアップツール

プラカードをチップの巾に合せて切り込み、セロハンテープを貼る。
半田こての半田を拭き取ってドライな状態にしておく。
チップをセロハンテープでピックアップして基板に位置決めする。

角の1本のピンを過熱して仮り付けする。
反対側のピンを位置決めして、チップを基板に押し付けながら4本のピンを一気に加熱して付ける。

仮付けした方の4本も一気に加熱して付ける。

更に生産性を向上させるために、ICの位置を強制するガイドを付けた。プラカードをダブルクリップで固定しただけで、ICパッケージのバリで位置がズレても調整しやすい。


これなら仮付けしなくても1発で4ピンが付けられる。
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- 2017/08/04(金) 20:20:20|
- 2.4GHzラジコン
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| コメント:7
山上様
つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。
1. 2.4GHzラジコンの立ち上がりはペアリングではじまりますが、それはどのようなやり取りでしょうか
申し訳ありませんが、存じ上げません。
2. 2.4GHzでの前進後退、右左の指令はどのようなものでしょうか、レガシイと言われるものと同じなのでしょうか信号波形を見たい
申し訳ありませんが、存じ上げません。
3. アナログラジコンとはどのようなものなのでしょう
この記事では、「アナログ式ラジコン」 は 「アナログ信号をキャリアに載せて伝送する方式」 の意で使っています。
- 2018/05/23(水) 09:41:43 |
- URL |
- 大泉茂幸 #-
- [ 編集 ]
1. 2.4GHzラジコンの立ち上がりはペアリングではじまりますが、それはどのようなやり取りでしょうか
2. 2.4GHzでの前進後退、右左の指令はどのようなものでしょうか、レガシイと言われるものと同じなのでしょうか信号波形を見たい
3. アナログラジコンとはどのようなものなのでしょう
- 2018/05/22(火) 22:56:04 |
- URL |
- 山上 #MQdUyoBc
- [ 編集 ]
はじめまして、稲城市のおもちゃ病院のラジオペンチと申します。
この記事を参考に、当方でも作ってみました。
その様子を当方のブログに書いたのですが、その中にこちらの記事へのリンクを貼らせていただきました。(下記です)
http://radiopench.blog96.fc2.com/blog-entry-825.htmlまだ、ケースに入れてスピーカーを鳴らすようにする作業が残っていますが、そのあたりもこちらのサイトを参考にさせて頂く予定です。
ということで、ご挨拶がてら、ご連絡いたします。
最後になりましたが、とても役立つ情報の発信ありがとうございます。
- 2018/03/21(水) 20:12:09 |
- URL |
- ラジオペンチ #-
- [ 編集 ]
名古屋オモチャ病院 山上様
つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。
そうですね。SSOP8ピンとなると、やはりICのピッチにあった基板でないと難しいですね。
基板を起こすと費用が掛かりますから、今回の応用ではピッチ変換基板を利用するのがベストではないでしょうか。
- 2018/02/25(日) 22:37:02 |
- URL |
- 大泉茂幸 #-
- [ 編集 ]
名古屋オモチャ病院のものです、ADを1月10日に発注し入手は約4週間後でした、最大3週間ですから、注文が多くてさばききれないようです、それにしてもあまりの小ささに、封筒の中になにも入ってないのじゃないかと思ったほどでした、今日まで変換基板なしで結線に挑戦していましたが、不可能と結論しました
- 2018/02/25(日) 21:06:07 |
- URL |
- 山上 #MQdUyoBc
- [ 編集 ]
田中様
つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。
AD8314がおもちゃ病院業界にかなり拡散してきたようですね。
電波が出ているか否かがチェックできるだけでも診断には役立ちます。
おもちゃ病院協会の会員さんからの照会を受けることが多いのですが、協会ではRFチェッカー関連の情報を流していないのでしょうかね。
- 2018/02/16(金) 22:30:17 |
- URL |
- 大泉茂幸 #-
- [ 編集 ]
茨城県 県西おもちゃ病院の田中です。
私も、この記事を参考にICを入手しました。
こんな小さなチップIC半田付けにはいつも苦労します。
最近試したもので良さそうなので紹介します。
紫外線硬化接着剤を使うものです。これは実際、以前の会社でも両面実装基板製作に使っていました。
接着剤とライトはアマゾンで入手出来ます。
DIY グルー 25g ジュエリー用UV樹脂ハードタイプ紫外線硬化用ソーラーキュアレジン太陽光活性化クラフツ透明クリア(25g)
100円ショップにも同様なのがありますが、硬化時間がかかります。これだと10秒以下で固定出来ました。ライトは
Keepjoy 紫外線ブラックライト LEDライト UV懐中電灯 目には見えない汚れに対策の発見器 ペットの尿 ステイン カーペットの汚れ対策に (長92mm*幅26mm)
が安価でした。
- 2018/02/16(金) 19:58:16 |
- URL |
- 田中 秀隆 #HgPdoCsE
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