名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3

1.患者
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(アガツマ)
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3外観
幼児向けの乗用おもちゃだ。

【メーカーサイトの説明書き】
●レールを敷いても、レールなしでも遊べます。
●レバーの切り替えで電動走行、フリー走行が選べます。
●コントローラーには前進・後進・ストップの走行操作機能の他に「アンパンマンのおしゃべりボタン」と「アンパンマンのマーチが流れるメロディボタン」が付いています。
●セット内容:本体一式、レール12本

ハンドルのところに赤外線リモコンが付いていて、幼児が操作することもできる。また、取り外して親御さんが操作することもできる。

2.症状
①リモコンが無いので、別の赤外線リモコンで動くようにしたい。

②本体側の基板は新規に製作するので、プロトコルを合わせ込んだファームウェアを開発して欲しい、とのこと。

3.診察
①お客様から支給された赤外線リモコンは下記の物。ネット通販で100円台で売られているそうだ。
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3リモコン

②支給された赤外線リモコンの赤外線信号波形の一部を以下に掲げておく。すべての信号波形はダウンロードファイルの「アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3代替リモコン波形.xls」を参照。

③フレームの繰り返し
「電源」ボタンを押しっ放しのとき
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3リモコン波形1
フレーム周期は108ms。

「電源」を1回目に押したとき
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3リモコン波形2

「電源」を2回目に押したとき
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3リモコン波形3

・3回目に押したときは1回目に押したのと同じ波形であった。
・1回目と2回目で波形の前の部分(MSB寄り)が異なるが、後ろ部分(LSB寄り)は同じであるため、後ろ部分をデコードすればよい。
・上記の2点は全てのボタンでも同じ状況になっていた。
・長時間のオフ後のオンでビットの開始と判断する。
・オフ時間とオンの時間の両方が変化するが、オフ時間でビット値を判定する。
 ビット値0はオフ0.9ms
 ビット値1はオフ1.7ms
・11ビット分の受信でフレーム終了と判断し、下位8ビットをデコード値とする
・上記のルールで全ボタンのデコードを行った結果は以下のとおり。

「電源」:00000000100
「↑」:00000010000
「↓」:00000010001
「ミュート」:00000000101
「←」:00000001001
「→」:00000001000
「AV/TV」:00000000110

4.治療
前回の事例 のアームウェアをベースに、プロトコルを変更する。

②音声再生機能の場合は実装メモリ量がデバイス選定のキーポイントになる。今回は、今春から秋月で取り扱いが始まった16F18326(2017年秋月@130円)を採用する。メモリは16kワードあり、アンパンマンのおしゃべりが入れられる。

③機能設計
;ポートの割当て
;RA0:PWM(CWGB)出力(負極性)、ICSPDAT
;RA1:空き、ICSPCLK
;RA2:PWM(CCP1)出力(正極性)
;RA3:MCLR、Vpp
;RA4:赤外線信号入力(負論理)
;RA5:空き
;RC0:バッテリー電圧ADC入力
;RC1:モーター正転出力
;RC2:モーター逆転出力
;RC3:TX
;RC4:空き
;RC5:空き


;赤外線信号受信
;フレーム構成:11
;リーダーやトレーラは無く、長時間のオフ後のオンでビットの開始と見る
;赤外線オフの時間とオンの時間の両方が変化するが、オフの時間でデコードする
;ビット値0:オフ0.9ms
;ビット値1:オフ1.7ms
;11ビット分の受信でフレーム終了と見て、後部の8ビット分をデコード値とする


;エンコード値
;電源 :00000000100
;↑  :00000010000
;↓  :00000010001
;消音 :00000000101
;←  :00000001001
;→  :00000001000
;AV/TV:00000000110


;曲と音声の対応
;曲1:アンパンマンのマーチ
;曲2:アンパンマンたいそう
;曲3:ミッキーマウスマーチ
;曲4:小さな世界
;音声1:効果音STOP
;音声2:効果音GO
;音声3:効果音BACK
;音声4:ぼくアンパンマン
;音声5:いっしょにいこう
;音声6:ガタンゴトン
;音声7:カンカンカン
;音声8:しゅっぱつします


;赤外線機能コードと動作
;STOP(電源):b'00000100'
;STOP(消音):b'00000101'
;STOP(AV/TV):b'00000110'
;上記の機能コードは全て同じ動作をする。
; 停止動作中、完全停止中は無視する。
; 停止する。
; VOICE0で音声1を3回繰返し再生する。
;
;GO(↑):b'00010000'
; 完全停止していなかったら無視する。
; VOICE0で音声2を3回繰返し再生後、前進する。
;
;BACK(↓):b'00010001'
; 完全停止していなかったら無視する。
; VOICE0で音声3を3回繰返し再生後、後進する。
;
;アンパンマン(←):b'00001001'
; VOICE1が再生中のときは無視する。
; VOICE1で音声4~7をラウンドロビンに再生する。
; 音声4と音声5は1回のみ再生する。
; 音声6は4回繰返す。
; 音声7は8回繰返す。
; 音声8は1回のみ再生する。
;
;メロディ(→):b'00001000'
; 演奏中のときは無視する。
; 曲目1~4をラウンドロビンに演奏する。


;バッテリー電圧の監視
;HブリッジのFETを完全にオン/オフさせるため、電源電圧が4.7V以下のときはFETをドライブしない。
;バッテリ電圧の低下を4.7Vまで許容するため、制御マイコンは Vdd=3.3V で稼働させる。
;バッテリーの過放電を防止するため、電源電圧が5.1V以下のときはバッテリーLOWと判定する。
;この5.1Vは鉛蓄電池の放電終止電圧(1.7V×3セル=5.1V)である。
;一定時間バッテリーLOWが継続したらFETドライブ出力をLとし、「バッテリーLOW」を警告する曲を演奏する。


④回路図(当方での製作例を参考に掲げる)
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3回路図

⑤基板製作(当方での製作例を参考に掲げる)
基本部分
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3治療1
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3治療2

実機走行確認しながら調整した結果
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3治療3
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3治療4

部品代は290円
アンパンマン電動レールでGO!GO!DX(マイコン換装)事例3診察1部品代

⑥ファームウェア
・PWM周期の32us毎に赤外線受信モジュールの出力をポーリングする。エンコード信号の最小パルス巾は600usなので、それで十分だ。TMR2割り込みサービスの中でデコードを実行する。

・バッテリー電圧のチェックもTMR2割り込みサービスの中で実行する。

・バッテリー電圧が低下した場合はHブリッジのFETをオフして、FETを保護する。

・バッテリー電圧の低下が継続した場合は車体駆動を停止し、「バッテリー電圧低下の警告曲」を演奏する。

・メモリを節約するため、おしゃべりの音声データは4ksps、効果音は3~4kspsとサンプリングレートをかなり落としたがおもちゃとしては実用レベルと思う。

・開発したファームウェアのプロジェクト一式と開発資材は ここから ダウンロードできる。

⑦発音のサンプル
発音のサンプルはこれ

再生できない場合はダウンロードファイルの中のmp3ファイルを試聴して下さい。

・車体の電源SWをオンすると「しゅっぱつしま~す」のオープニングメッセージが流れる。

・ピューン↑ が「GO」、ブッブッブ が「STOP」、ピューン↓ が「BACK」の効果音。

・半音ずつ下がってくるのが「バッテリー電圧低下の警告曲」。
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  1. 2017/12/30(土) 15:03:14|
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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

本ブログで公開している技術情報や成果物のご利用および再配布はフリーです。読者様の技術活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。

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