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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

どうようえほん(コスミック出版)の修理(メンブレンSW換装)

1.患者
コスミック出版の25曲入りどうようえほん
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)外観1
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)外観2

2.症状

曲の選択が効かない所がある。

3.診察

①選曲が効かない所があると言うより、効く所の方が少ない。

②メンブレンSWの縦横の配線パターンが至る所で断線していて、壊滅的な状況だった。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)メンブレンSW1
配線パターンの変色部分が断線していた。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)メンブレンSW2

③基板上で導通させると全曲とも動作したので、不具合はメンブレンSWのみと判断した。

4.治療

【全体の構想】
①いつもは極細導線を配線パターンに這わせて導通を確保するのだが、このおもちゃは断線の状況が酷いので、メンブレンSWの修理はやめてタッチSWで換装することにした。タッチSWにすれば今後断線による故障は発生しない。

②5×5のマトリクスを構成するには10個のタッチSWが必要になる。

・市販のタッチSWを利用する場合は、例えば「TTP223モジュール」は@10円程度で出回っていて、タッチSW自体は100円で構成できる。

・元基板とのインタフェースとしてセレクト線5本とセンス線5本の10本と、タッチSWとのインタフェース10本が必要で、制御用のPICはI/Oが20本必要になる。そうすると28ピン物になり、それなりにコストが掛かる。

・コストを低減するために、タッチSWを専用の部品を使わずにPICのポートI/Oでタッチセンスする方法を採ることにする。

③電源が電池2本の運用であるため低電圧動作であることと、28ピンであることの条件で16F1933-I/SS(@83円2020年AliExpress)を選定した。

【元基板とのインタフェース】
④セレクト線の振る舞いを観察した。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)元セレクト信号1
・待機時はL、メンブレンSWのスキャン時は正論理でセレクト信号が出る。

・5本のセレクト線を全て観測すると、セレクト信号の巾は30us前後で、5個分が隙間なく並ぶ。

どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)元セレクト信号2
・電源オンで出力開始し、SWの操作が無いと約3秒で待機状態になる。曲の演奏中は出続ける。

⑤センス線の振る舞いを観察した。

・待機時はプルアップされている。

・メンブレンSWの導通によりLに落とされWakeupする仕組みのようである。

・Wakeupするとセンス線はプルダウンされ、メンブレンSWで導通したセレクト信号がセンス信号として返される。つまり、メンブレンSWのスキャン時にはセンス信号は正論理で受けている。

⑥上記④と⑤の動作をPICで疑似すれば元基板の操作が可能と考えて、テストプログラムを作ってフィージビリティスタディをやってみた。

・テストプログラムはダウンロードファイルの TouchSW_1705.X を使用した。

・待機時にセレクト信号のLをセンス線に返してもセレクト線にスキャン信号は出てこなかった。待機状態でセンス線がLになるのは非同期なので、センス線のどれかをLにすればスキャン信号が出てくるハズなのだが、不可思議だ。

・稼働中(電源オン後の3秒以内)に特定のセレクト信号を特定のセンス信号に返してやるとメンブレンSWのマトリクス構成で定まった曲が演奏開始された。

・待機時に赤ボタン「すとっぷ」を押すと、電源オン時と同様に3秒間だけスキャン信号が出てくることが判ったので、PICから赤ボタンにHを与えてからメンブレンSWの動作を疑似すれば目的の曲を演奏開始させることができた。赤ボタンの操作時間は10us以上で効いたので、20usとした。センス信号を返す回数は、90回で不確定で100回ではほぼ確実となったので180回とした。

【タッチセンス】
⑦タッチセンスは 「PICでタッチSWを製作(第2弾)」 で得られたノウハウを流用しているが、今回はマトリクスの規模が比較的大きいので、配線が長くなることによる感度の低下と信号線間の干渉が懸念される。

・実際にポリウレタン線を張り巡らせてタッチパッドを構成してみたところ、感度と安定性の両立が難しい。パッドを櫛型にして面積を広くすればよいと思うがパッドの加工がかなり面倒だ。

・CPSモジュールを内蔵したPICに替えることも考えたが、CPSを10個以上内蔵するのは40ピンになり、廉価のものが見当たらなかった。

・曲の絵を描いたシートを介在すると感度不足になってしまうので、シートを取り外すことにした。もしやり直すなら、シートの上にポリウレタン線を這わすのも手だと思う。

【省電力】
⑧元々このおもちゃには電源SWがなく、待機時はSleepしている。PIC側も省電力Sleepしておき、操作時に動作再開することを考える。

・タッチSWではIOC割り込みが利用できないので、スキャンした結果操作が無かったときはSleepさせ、WDTにより128ms周期でWakeupさせる。

・間欠的にタッチSWをスキャンするので、待機時の平均的な消費電流は44uA程度となった。

・10分以上操作が無いときはIOC割り込みを仕掛けてSleepさせることにした。この結果、18uAになった。

・IOCはスキャン信号を利用する。Wakeupさせるには赤ボタン「すとっぷ」を押す。

【ファームウェア】
ダウンロードファイル に設計資料と開発プロジェクトを含んでいる。

【実装】
PIC基板
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)タッチパッド基板表
AliExpressで注文した16F1933-I/SSがなかなか届かないので、取り敢えず手持ちの16F1936-I/SPを使った。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)タッチパッド基板裏

タッチパッド
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)タッチパッド1
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)タッチパッド2
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)タッチパッド3

基板配置
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)タッチパッド基板配置

配線
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)配線1
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)配線2
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)配線3

完成
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)外観3
曲名のシートは上部に貼り付けた。

【課題】
真面目にCPSモジュールを使って感度と安定性を両立させる。
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  1. 2020/07/24(金) 19:22:51|
  2. マイコン換装
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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物の複製、改変および再配布はフリーです。読者様のおもちゃ病院活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。なお、公開ファイルは最新版を載せているので、古い記事の内容から変わっている場合があります。

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