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名張市つつじが丘おもちゃ病院

三重県名張市つつじが丘でおもちゃの病院を開院しています。年中無休で修理は無料、部品代のみ実費です。おもちゃの修理依頼は tutuji@cb4.so-net.ne.jp へメールにてご連絡下さい。なお、宅配便での受け付けは行っておりません。このブログにはおもちゃ等の修理事例やツール製作などを載せていきます。故障診断や修理方法の改善等、ご意見をお寄せ下さい。

どうようえほん(コスミック出版)の修理(メンブレンSW換装)おまけ

1.患者
コスミック出版の25曲入りどうようえほん
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)外観1
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)外観2

この個体の修理記事はこれで3つ目で、メンブレンSWをPICでタッチSWに改造する修理を行っている。最初はCPSを内蔵していないPICを使ったところタッチセンスの感度と安定性で難があった。2回目はCPSを内蔵したPICに替えて良好な結果を得た。

実は最初と2回目の間にもう一つの策があった。

CPSを10ch以上内蔵しているPICは40ピン物になってしまい、比較的高価になる。16F1823はCPSを8ch内蔵しているので、これを2個繋げは10ch分を賄える。元基板とのインタフェースで11本のI/Oが必要なので、全部で3個必要になる。16F1823はAliExpressで変換基板と合わせて最安約60円で調達できる。3個分で180円になり、DIPの16F1939(@230円2020年秋月)よりも安くできる。

最初の修理の 2.症状 3.診察 4.治療 については こちらを 参照。

実際のおもちゃは 2回目の方法 で治して既に返却しているのだが、後学のためにこちらの方法も記しておく。


4.治療

【全体構成】
①16F1823を3段構成にして、メンブレンSWを換装する。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)おまけ全体構成図
【デバイス間の機能分担】
①タッチパネルからの信号線がクロスするのを避けるためにセレクト線とセンス線は順不同にてパッチパネルから引き出している。そのため1段目と2段目の1823にも順不同で10ch分のタッチパッドを繋ぐことになる。

②1段目で5ch分のタッチセンスを行い、その結果を2段目へシリアル通信にて送る。

③2段目で残り5ch分のタッチセンスを行い、10ch分を纏めて曲選択の操作を評価する。その結果、選曲が為されたら3段目へシリアル通信にて曲番号を送る。

④3段目で元基板へ「すとっぷ」信号(「すとっぷ」ボタン押下)を送り、セレクト信号に同期してセンス信号を返す処理を実行する。

⑤タッチセンスの実行周期の管理は1段目で行い、後段は前段からのシリアル通信の受信のタイミングで処理を起動する。その周期はWDT周期の128ms、5ch分のCPS評価時間の10ms、その他の処理時間を合わせて約150msとなる。


【タッチセンス】
①タッチセンスは PICでタッチSWを製作 で得られたノウハウを流用している。

②今回はマトリクスの規模が比較的大きいので、配線が長くなることによる感度の低下と信号線間の干渉が懸念される。


【省電力】
①1段目はタッチセンスの実行時以外はSleepする。また、1分の時限でもタッチセンスの実行をやめてSleepする。

②2段目以降は前段からのシリアル通信の受信でWakeupし、処理後はSleepする。

③元基板は、演奏中はセレクト信号が出続ける。また、「すとっぷ」ボタンを押すと3秒間はセレクト信号が出る。これを利用して、1段目でセレクト信号をIOCで監視し、信号がある間はSleepの時限をクリアする。これで、演奏終了後1分経過でSleepし、「すとっぷ」ボタンでWakeupする仕掛けとなる。

④16F1823はSleep時の消費電流が20uAあり、3個分で60uAにもなる。パナソニックによると単3マンガン電池の容量は10mA負荷で50時間となっていて、比例計算すると60uAでは8333時間(=347日)持つことになる。電流が少ないほど見かけの容量は増える傾向があり、実際には比例計算の結果よりも数倍は持つと思われる。3個の16F1823は常時通電で構わないと考える。

⑤若干の部品追加で電源の制御を行う方法も考えてみた。1段目がPORした時に電源保持の信号を出し、1分の時限がタイムアップしたら電源保持を止める。「すとっぷ」ボタンを電源オンのトリガとする。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)おまけ電源制御回路

⑥3段目は元基板からのセレクト信号が繋がっているので、3段目が電源オフするとポートから電流が流れ込むことになる。そのため3段目は常時通電とする。5本のセレクト信号の経路にダイオードを設置すればよいのだが部品が増えるので敬遠した。

⑦1段目にも元基板からのセレクト信号が1本だけ繋がるが、ここにはダイオードを設置して電流の流れ込みを防止する。

⑧2段目から3段目へのシリアル接続も3段目から2段目へ電流が流入しないようにダイオードを設置する。

【ICSP】
①3段目はピン割り当てがキツキツで、RA3を2段目からのシリアル受信に使っている。ICSP時にはVppがRA3に印加されるので、2段目にVppが架からないようにダイオードを設置する。
どうようえほんコスミック出版(メンブレンSW換装)おまけ3段目ICSPVpp


【ファームウェア】
設計資料と開発プロジェクトは ここから ダウンロードできる。


5.評価
①Sleep時の消費電流を60uAから20uAへ低減させるために電源制御の回路を設けることになり、費用対効果の評価から、実際のおもちゃには2回目の方法での実装となった。

②電源SWが初めから設けられているおもちゃには、今回の分散方式を採用したい。
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  1. 2020/08/03(月) 14:37:12|
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プロフィール

大泉茂幸

Author:大泉茂幸
名張市つつじが丘おもちゃ病院
名張市つつじが丘南3番町129
tutuji@cb4.so-net.ne.jp
090-5534-6494
連絡は上記のメール、またはSMSでお願いします。

子どもの頃から趣味は電子工作一筋でやってきました。理科離れが進む中で科学技術に興味を持つ子どもが少しでも増えて行くことを願って、子ども達に電子工作の活動の場を提供しています。

1981年からおもちゃ病院の活動を始め、2014年に三重県名張市への移住を機に「つつじが丘おもちゃ病院」を開院しました。自分でおもちゃを設計し製作する【おもちゃ工房】と、マイコンを応用した電子工作を楽しむ【マイコンクラブ】も併設しています。新規参加メンバーを募集しています。

当ブログで公開している技術情報や成果物の複製、改変および再配布はフリーです。読者様のおもちゃ病院活動のお役に立てば幸いです。ご利用いただいた結果や感想等を記事へのコメントやメールでフィードバックしていただけると有難いです。なお、公開ファイルは最新版を載せているので、古い記事の内容から変わっている場合があります。

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