ドクター研修会の製作実習ネタの一つとして実施している「赤外線リモコン送信機・受信機の製作」を紹介する。

【概要】
赤外線リモコンの電子回路部分を送信機と受信機として具現化したもので、メカ部分は含まない。また、Hブリッジも含まない。つまり、リモコンの信号処理を学ぶための教材としての位置付けである。
送信機は、前進・後退・右折・左折・ターボの操作ボタンを設けて、所謂「フルアクション」とする。
受信機は、デコードの結果を、送信機のボタンに対応する5個のLEDに表示する。
ここで作った送信機と受信機は、別記事の「
ラジコン送信機・受信機の製作」のエンコーダとデコーダとしても流用できるように配慮している。
【プロトコル】
Q-STEER(タカラトミー)、REALDRIVEnano(CCP)と同じプロトコルとする。そのため相互間での動作、例えば、ここで製作した送信機でQ-STEERの車体をコントロールすることなど、が可能である。
Q-STEER(タカラトミー)、REALDRIVEnano(CCP)のプロトコルの詳細 は【ダウンロード】の資料を参照のこと。
エンコーダとデコーダはPICマイコンに実装して受講者に提供する。従って、受講者にはマイコン開発のスキルは必要ない。
バンド番号の設定は、製品ではハードウェアSWに寄るが、このファームウェアではターボボタンの長押し(2.5秒以上)でバンド番号を設定する仕組みにしている。送信機側でバンド番号が設定されると、バンド番号設定プロトコルを送信し、受信側にバンド番号を設定させる。詳細はダウンロード資料を参照。
ブログ読者から指摘されて判ったのだが、バンド番号の設定方法を下記に替えていた。変更の理由は今はもう思い出せない。
;パワーオン後最初のキー入力でCH番号を記憶し、受信側にもCH番号設定を送信する。
;右折ボタンが押されていたらchA
;左折ボタンが押されていたらchB
;前進ボタンが押されていたらchC
;後退ボタンが押されていたらchD
;CH番号設定の指示データはCH番号+b'0000'である。
再度、ブログ読者から指摘をいただいた。バンド設定の手順を上記に替えたのは「
Q-STEER送信機の修理(マイコン換装)」の修理記事ではないか、とのこと。
その通りだと思う。研修会の教材用に作ったQ-STEERのファームウェアを実際の修理に利用したときにプログラムを変更し、研修用のプログラムも仕様変更した、と思う。元々のターボボタンの長押しでバンドを設定するプログラムはもう無い。
【回路図】
送信機

キー入力が正論理になっていて、プルダウン抵抗を付けている。読者から、何故負論理にして内部プルアップを使わないのか、と質問をいただいた。12F509は内部プルアップが可能なポートが限られていて、内部プルアップ機能が無いポートは外部でブルアップする必要がある。正論理と負論理を混在させると教材としての説明がややこしくなるので、全キーを正論理に統一した。他のデバイス、例えば12F629などにすればよいと思われるかも知れないが、当時は12F509が最廉価(@50円、2010年秋月)だった。
受信機

【使い方】
組み立て後に調整すべきところは無い。配線不良が無い限り、すぐに動作するはずである。
飛距離は5m程度である。
各部の信号を観測して、信号が処理されていく過程を観察する。
送信機と受信機間の赤外線伝送をわざと妨害(赤外線を遮断するとか送信機を断するとか)して、通信異常時の対応機能を確認する。
①無通信の検出と自動停止(安全な状態へ遷移する設計)
②瞬断時の制御自動補完(動作がギクシャクしない設計)
複数バンドでの同時使用を確認する。
【ダウンロード】
詳細な製作資料とファームウェアの開発プロジェクトは
ここから ダウンロードできる。
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- 2014/05/24(土) 15:34:04|
- 赤外線リモコン
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| コメント:5
おもちゃドクター1420の堀です
オルゴール他でお世話になっています
今回赤外線送受信機の製作の記事を拝見し
製作できたことの報告をし、感謝を申し上げます
回路にある同一の部品の入手が出来ず(赤外線受信モジュール)部品(Hブリッヂ、モータードライバー)探しもあり時間がかかりました、今後はラジコン送受信機の製作に挑戦してみたいと思っています いつも有難うございます
- 2020/11/02(月) 19:24:15 |
- URL |
- 堀忠男 #-
- [ 編集 ]
清野様
つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。
ご指摘の事象を確認し、原因が判明しました。
別記事「Q-STEER送信機の修理(マイコン換装)」
http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-165.htmlのファームウェアが、当記事のダウンロードファイルに混入していました。
以前にQ-STEER関連のファームウェアを整理したときの手違いと思われます。
現時点で、当記事のダウンロードファイルは是正されています。
- 2018/07/17(火) 08:26:25 |
- URL |
- 大泉茂幸 #-
- [ 編集 ]
大泉様 清野です。
当おもちゃ病院の会員さんから このブログで送信基板を製作したが動作しないという事で 基板・プログラムをチェックしてみました。
結果、プログラム 2016-08-26 Q-STEER_TX_509.X.production.hex では動作しない事が判明しました。
以前にダウンロードしておいた 2014-03-27 TX_509.HEX -では動作確認しました。
ひょっとしたら 2016-08-26のプログラムではなく違う所に**.hex プログラムがあるのでしょうか?
- 2018/07/16(月) 22:40:05 |
- URL |
- MS工房 おもちゃ病院新津 #-
- [ 編集 ]
「管理人のみ閲覧できます」のコメント主様へ
つつじが丘おもちゃ病院 大泉です。
公開ファイルがダウンロードできないとのことですが、当方では正常にダウンロードできておりますし、他の読者様からも不具合の連絡はいただいておりません。
貴殿の操作内容とエラー画面を当方へメールで送っていただければ、対処方法が判るかも知れません。
- 2017/07/01(土) 20:34:12 |
- URL |
- 大泉茂幸 #-
- [ 編集 ]